暗月徘徊


肉の生き物たち
その骸に集る蠅共の
卑猥な羽音に
尖らせる耳、鼓膜のたわみ
ザラつきは溢れ、
震える夜は水底へと沈む
感情は冷えて固まり
手のひらに収まる
情けなさ、やるせなさ
それどれもがどれも不甲斐なく
ないない尽くしの肉体を
ひとつもろとも引っ提げて
泣く泣く歩く暗がりの中
声を出せば上滑り
地団駄を踏めば転倒
こけおどしの快楽で
笑ってみれば虚しいだけ
痩せ犬の譫言を聞きながら
墨色の池に石を投げるような
自問自答に果てはなく
終わりがあるのはこの夜と
獣道、そして疲れたこの身だけかよ

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