見出し画像

暗中模索

二進も三進も一寸先の闇
奥行は遥か、手は空を掻くばかりで
出口不在の永久迷路
さながらエッシャーのだまし絵
ピエロのような、奴隷のような
生き物よりも、現象じみた
二本足で、踏み抜く地面は固く
思考を制御する舵さえ
手が震えて上手く取れない始末で──
蓄光塗料が吸って、吸った光が
暗闇で命みたいに光ってて、
それだけを頼りに方角を導く
どれもこれも幻惑の妄想だとしても
進む、結末はいずれ分かる
進む、そこに答えがなくても
進む、進まねば本懐は遂げられぬ故
苦痛、肌で感じ、奥歯で強く強く噛む
憂鬱が振り切っても
発狂さえもままならない凡人だから
ただただ歩くことを余儀なくされる
毎日、透明な意識化で息を吸い
起きたまま夢を見て、頭が牛の人に会い
すれ違いざまに少し会釈し、行き過ぎる
時折聞こえる扉の開く音、閉まる音には
騙されるな、それこそが敵の罠
決して惑わされず、歩みを進め
暗闇の深層へと潜り、心ごと
魂と肉体ごと、そのまま沈み込むやうに
今日も火を炊き、無い飯で腹を満たせ
生きていること、存在証明をこの地に
残して、ひたすらに孤独であれ
進め

#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ #25日目

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?