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記事:全国すべての少年院 通信制高校に入学できる制度開始 法務省(NHK)

全国すべての少年院で通信制の高校に入学できる制度が今月から始まるという記事。

法務省によりますと、少年院に入所している6割余りが高校を卒業しておらず、そのあとの進学や就職も難しいことから非行を繰り返すケースが多いと指摘されています。

こうした中、法務省は一部の少年院で行ってきた通信制の高校に入学できる制度を、今月から全国すべての少年院に広げることにしました

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240405/k10014413101000.html

4月5日(金)の法務大臣の閣議後記者会見で言及されていました。

(冒頭発言)
もう1件、私の方から報告がございます。それは受刑者の学習機会の拡充についてです。長野県の松本に少年刑務所がありまして、その中に公立の中学校の分校が設置されています。松本市立旭町中学校桐分校といいます。これまで男子受刑者を入学させてきました。今回初めて、女子受刑者を入学させることとしまして、来週9日火曜日に入学式を行います。これは、来年導入が予定されております拘禁刑の施行を見据えて、義務教育レベルの学力を欠くことが本人の改善更生や円滑な社会復帰に支障があると認められる女子受刑者に対して、本人の希望を踏まえ、中学校の教育を受ける機会を設けることを目的とするものです。この学校が創立されたのは1955年4月です。約70年の歴史を有する桐分校に女子受刑者が入学するというのは初めてでございまして、しっかりと我々も取り組んでいきたいというふうに思っています。

(質疑)
受刑者等の学習機会の拡充に関する質疑について

【記者】
 先ほど冒頭にもありました、全国で唯一の少年刑務所内の中学校に女性が入学するということと、今年度から全国の少年院の在院者に通信制の高校で学ぶ機会を与える取組が始まりましたこの受刑者らが学ぶ機会を設けることの意義と、期待する効果についてお答えください

【大臣】
 令和4年に新たに受刑することとなった者のうち、約57%が高等学校未修了です。また、少年院在院者についても、多数の者が中学校卒業又は高等学校中退の教育程度であり、円滑な社会復帰等に当たって、これを乗り越えることが大きな課題の一つとして位置付けられています。こうした状況下で、受刑者等に社会生活の基礎となる学力を身に付けさせることは、進路や就労の選択の幅を広げるなど円滑な社会復帰や改善更生の意欲の喚起にもつながる重要な意義を有していると思います。通信講座の実施も含めて、来年の拘禁刑の導入を見据えて、受刑者等の更生、円滑な社会復帰に向けて着実にこの制度がワークするように、きちんと我々もフォローアップしながら更に深めていく、そういう洞察もしながら取り組んでいきたいと思います。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240405/k10014413101000.html

来年導入が予定されております拘禁刑の施行を見据えて」、「来年の拘禁刑の導入を見据えて」と「拘禁刑」との関係があるようですが、拘禁刑ってどんな刑だったかなと。

従来の刑法では、受刑者に対して一律に刑務作業を課す懲役刑と、作業義務の無い禁錮刑の2種類に分かれていた。これを拘禁刑に一本化する改正刑法が22年6月に成立した。最大の目的は、受刑者の社会復帰と再犯防止だ。従来の懲役刑には「懲らしめ」と「再犯防止」の二つの側面があったが、再犯防止にかじを切ったといえる。

https://mainichi.jp/articles/20230918/k00/00m/040/078000c

こちらが2022年6月に成立した「刑法等の一部を改正する法律案」に関する資料。

こちらが「懲役」と「禁錮」がある、現行の刑法。

〇刑法(明治40年法律第45号)
(懲役)
第十二条 懲役は、無期及び有期とし、有期懲役は、一月以上二十年以下とする。
2 懲役は、刑事施設に拘置して所定の作業を行わせる

(禁錮)
第十三条 禁錮は、無期及び有期とし、有期禁錮は、一月以上二十年以下とする。
2 禁錮は、刑事施設に拘置する

そしてこちらが6月に施行される予定の「拘禁刑」の条文。ちなみに、「新旧対照条文」の資料を見ると、「懲役」を定めていた第12条の文言を修正することによって「拘禁刑」の条とし、「禁錮」を定めていた第13条はまるっと削除となっています。

〇刑法(明治40年法律第45号)
拘禁刑
第十二条 拘禁刑は、無期及び有期とし、有期拘禁刑は、一月以上二十年以下とする。
2 拘禁刑は、刑事施設に拘置する
3 拘禁刑に処せられた者には、改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又は必要な指導を行うことができる

※ 太字は現行の「懲役」を定めている第12条の条文から特に変わったところ。

第2項の「刑事施設に拘置」は現行の「懲役」及び「禁錮」の規定、第3項の「作業を行わせ」は「懲役」の規定を引き継いでいるもので、大きな変更点としては、第3項中の「改善更生を図るため」、「必要な指導を行うことができる」の部分でしょうね。

刑事施設に拘置」しつつ、「必要な指導を行う」ための手段として、「通信制高校」がピッタリだった、ということなんだろうなと思いますが、もう少しいろいろ勉強してみたいなと思います。今日はここまで。

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