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4月2日の怪

「お前、4月2日生まれだろ。医者に1日生まれにするか訊かれるって本当?」

「そうそう。訊かれたらしいね。その辺で生まれると誕生日選べるって。っていうか、3月末に生まれた子供を4月2日にする人も多いらしいね。だから、4月2日生まれって日本一多いだろ」

「へえ。でもさ、なんで4月2日生まれが学年で1番なんだよ。っていうかなんで4月1日生まれの人は上の学年行っちゃうのよ」

「あのさ、おかげで、しょっちゅうそれ訊かれるんだよね。日本の法律では6歳になった次の日以降の最初の4月1日に小学生に上がるって決まってるの。4月1日生まれの子供が6歳になるのは前日3月31日の24時、つまりその翌日の4月1日で小学生に上がってしまうんだよ」

「ちょっと待てって。3月31日の24時に6歳になる?4月1日じゃなくて?」

「そうだよ。人が年をとるのは誕生日の前日の24時。民法でそう決まってるんだって。だから4月2日生まれの人は4月1日24時に6歳になるけど、小学生に上がるのは6歳になった次の日以降の最初の4月1日、つまり6年と365日経ったあとなんだよ。小学生に上がったその日の24時で7歳になっちゃうけどね」

「へえ。でも、なんでそんなことすんだよ。そもそも誕生日に年をとるって決めてればこんなややこしくなんねえだろ。なんだよ、前日の24時って」

「お、いいねえ、教科書通りの反応。さあ、なんででしょう。なんで誕生日の前日に年をとるなんて法律を作ったのでしょう」

「うぜえって。早く言えよ」

「ふん。誕生日の前日に年をとらないと困る人がいるってことだよ」

「わかった!うるう年!2月29日生まれの救済だ!」

「そゆこと」

「ていうか、お前も3月末に生まれて、親が金でも積んだんだろ」

「はいはい。かもな」

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