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22-23バイエルン・ミュンヘン戦評 vsマインツ05 『NEXTレベルの我らを見よ!』@Allianz Arena

◇プロローグ:確固たる勝者のメンタリティをその手に

後味の悪かったドルトムント戦のドローから、

上位チームのフライブルク、ホッフェンハイムをなぎ倒し、

ミッドウィークではバルセロナを完膚なきまでに打ち破ったバイエルン・ミュンヘン。

ここ10年間は当たり前すぎて、最近久しぶりに見失った『勝者たる自覚』を取り戻しつつあった。

今節でも上位のマインツに勝利し3連勝を飾り、『Die Roten(赤)』の魂に火をつけたいところ。


◇バイエルン・ミュンヘンのスターティングメンバー


前節から未だに負傷を引きずるノイアーに代わりウルライヒ、

右サイドバックはマズラウィ、右翼ニャブリ、左翼はサイドで水を得た魚感のあるマネ

トップは、今や苦しむチームを助けた救世主メシアことシュポ=モティンが入った。

また負傷のザネに代わり、リズミカル王子ムシアラがスタメン。

特に注目は、ここ最近絶好調のシュポ=モティンだ。

チームの攻撃にリズムを与えるポストプレーと、しっかりと怖さのあるシュートセンスはFW経験者垂涎の一級品だ。

小生もFW経験者であるが、FWとしてゴールの次に喜ばしいのは、

うまく自分のポストプレーがハマって攻撃が展開されゴールに結実した瞬間だ。

あれほどチームプレーのやり甲斐を感じた瞬間はない。

シュポ=モティンはそんな想いを噛み締めて、

私が敬愛する『元祖・利他的FW フリオ=クルス師匠』の如くプレーしているに違いない。



◇前半 ・ポイント ⇒ 所感


序盤 「その手は食わないよ」の気概を見せるマインツ

この一戦に向けてマインツ指揮官ボー=スヴェンソンは、

テープが擦り切れるほど、ハードディスクが溶けるほど、

フライブルク戦やホッフェンハイム戦を何度も繰り返し見たことだろう。

立ち上がりのマインツは、最終ラインの3枚、中盤5枚のラインで強固に守る。

ラインは低めに構えて必要とあらば、最終ラインを5枚にして引いてスペースを徹底的に潰す。

「センターから崩せるものなら崩してみな。」と毒ガス怪獣ケムラーに対する特別捜査ネットワーク機関 W.I.N.Rの隊員ばりに守備ブロックを形成した。


3分 バイエルン決定機

セカンドボールを拾ったマズラウィが、バイタル前のスペースゼロのムシアラへ。

ムシアラからシュポ=モティンと繋いで右サイドニャブリに展開する。

このセンターへの収縮と拡大でフリーになりかけた左のマネへクロス。

惜しくもクロスには合わせられなかったが、早々にチャンスを創出。

何よりもマインツの想定外は、相手のプレスをするりと切り抜けるフォースを持ったミディクロリアン過去最高値男のムシアラ

この決定機の流れでムシアラに与えられたスペースはまさしくゼロに等しかったが、

そんな狭さをもろともせず簡単にボールを繋いでしまった。

この人とW杯で僕らの日本代表が戦うなんて恐ろしすぎる。

引いてもちょこんとボールずらしてミドルを打たれる、飛び込んでもすかさず交わされる、油断してるとキラーパス刺してくる。

どうすれば良いですか、そしてこの人まだ19歳なんだが。


5分 美し過ぎる連携からバイエルン先制

バイエルン不動の潤滑油ゴレツカが、1.5列目の狭間で忍のようにパスを受ける

そこから縦に早くボールがニャブリ、シュポ=モティンと3本気持ちよく通ると左サイドのマネへ展開。

マネから狙い澄ましたグラウンダークロスが上がると、

待っていたのは茶を立てるように相手を料理するニャブリ!!

落ち着いて右隅に決めてバイエルン先制!

マインツが忍者ゴレツカのマークを外したところから、ズレとスペースが生じ、そこからクロスに対して中盤のバイタルを埋める動きも遅かった。

せっかく立ち上がりに埋めようとしたスペースは、マンマークとゾーンディフェンスの境界線となった隙をつかれる形となった。

ここ一連の連携をほぼ中央3レーンで畳み掛ける迫力は、凄まじい!!

これぞナーゲルスマンの奥義なのだろう!

約15本もパスが繋がった。

こんなに美しいゴールを見たのはいつぶりだろうか。

ゴールを見れば分かるだろう、彼らがチームとして1つになっていることが。


怯んだKarnevalsverein (カーニバルクラブ)

序盤の序盤こそ、是が非でも守ろうと意気込んでいたマインツであったが、

見事としかいえない展開でゴールを奪われ当初のプランが崩壊。

なんとかカウンターでブルカートに繋げようとロングボールで打開しようとするが、

ことごとくバイエルンボールとなり、断続的に主導権を握られ続けてしまう。


17分 バイエルン決定機

マズラウィを中心に相手を右サイドに引き付けてから、逆サイドのマネに展開。

マネからの折り返しを受けたムシアラは、

またしてもペナルティエリア内で得意の高速ダンスを披露

全く焦りの無い細かなステップから放たれたシュートは惜しくも枠外に。

マネが展開の中でフリーで前を向いて勝負できる機会がこの試合では多かった。

今後の十八番攻撃となるような気がしている。


『絶対的安定感』を地で行く黄金ボランチコンビ

相変わらずのゴレツカロールとキミッヒの展開力による多彩な攻撃は、要所要所で抜群に効いていた。

トランジションの際も、もともとアタック時に陣形を広げすぎないから、

反撃されてもすぐに相手を取り囲み圧をかけて奪い返せる。

そこからまた縦に速く文字通り攻撃を仕掛け、何度も畳み掛ける。

蜂のような団結を示す屈強なmia san mia達、こりゃ強いわけだ。


マインツのユニフォームがカッパであることに気づく

ブンデスでカッパとは珍しい。

何を隠そう私が好きなブランドだ。

理由は、愛するクラブのレアル・ベティスのユニフォームが昔からカッパだから。

なかでもホアキン=サンチェスは、当時NHKでスペインリーグ観ていた小中学生の私にとってアイドルであり憧れであった。

特にゼロ視野からのピンポイントクロスや、独特の緩急で相手を翻弄するところには衝撃を受けた。

昔は多種多様なウインガーがいたものだ。

ホアキン=サンチェス
ビセンテ=ロドリゲス
キリ=ゴンサレス
ガイスカ=メンディエタ
ルイス=フィーゴ
サンティアゴ=ソラーリ
スティーブ=マクマナマン
ルイス=エンリケ
マルク=オーフェルマルス

などなど挙げればきりがない。


27分 天才少年がドイツの槍に進化を遂げる


ちょっとした中盤のスペースを発見した韋駄天デイビスがニャブリのパスを受けて前進、

このデイビスの果てしなく意外性のあるヒールパスを待っていたのは、

蝶のように舞い、蜂のように刺す天才少年ムシアラ君。

今となってはお馴染みのシュポモティンの全国の高校生フォワードに見て欲しいポストプレーから、ムシアラが右足一閃!!

ゼロ視野で放たれたシュートは勢い良くゴール左隅に吸い込まれた、バイエルン追加点!!

ラインを引きすぎたために発生したバイタルスペースをバイエルンは見逃さない!!!

すべてのスピードが速すぎる、これこそヤッヒーこと風間八宏さんのおっしゃっる「時間を制する攻撃」と言うことか。


40分 プレミアのレベルを披露するマネ


中央から左サイドでフリーでボールを受け、

相手であるエジミウソン・フェルナンデスを何度か剥がした自信を胸に、

マネはプレミア仕込みのキレのあるシザースをかまして相手をかわすかわす。

最後の一人を絶妙な距離感で交わした先に倒されPK獲得!

これを一度は跳ね返されるも、自身で豪快に押し込み3点目!!!


48分 反撃の狼煙を上げるマインツ

流れの中でPK献上もウルライヒがビックセーブ!

しかし防いだ流れのコーナーキックから、

ヴィドマーがニアで合わせてマインツがゴール!!

キミッヒのマークからニアサイドへのクロスの前で合わせられて失点を許した。

リーグ戦での失点は、悪夢のドルトムント戦以来となる。


◇後半 ・ポイント ⇒ 所感


56分 バイエルン追加点

前線から高圧的に守備してくるマインツに対し、リンクマンゴレツカが素早く前線へ、得意の左で勝負したマネがシュートも枠外!

前から積極的に守備にいく方法に切り替えたマインツだが、連動がうまくいっていない印象。

そんなこんな書いていたら、左サイドマネのクロスから、

「はい、ここにスペース見つけました!」と言わんばかりのゴレツカが、

魂のヘディングシュートでゴール、バイエルン4点目!

59分 余裕のメンバー交代


ザビッツァー、コマン投入。

古の言葉を使えばバランサーザビッツァーは久しぶりの出場。

シーズン当初はキミッヒとスタメンだったが、ゴレツカにスタメンを奪われていた。

しかしもともとサブだったウルライヒもシュポ=モティンもポテンシャルは一級品だ。

どちらもスタメンの素養は十分。

特にシュポ=モティンは、シャルケ時代から知ってはいたが、ここまで器用で頼れる選手とは。

控えメンバーにここまで質を確保しているところは流石ブンデス10連覇のバイエルンミュンヘン。


72分 76分 新進気鋭の若者達が途中交代

フラーフェンブェルフとテルが途中出場。

ムシアラ、マネは万雷の拍手でピッチを去る。


79分 ナーゲルスマンの寵愛する男がゴール


ああ、こんなに完璧な試合運びとなると課題はジョーカーとなるベンチ選手かな、と思っていたら、

テルが果敢にミドルレンジからシュートを撃ってゴールが見事に決まりバイエルン5点目!

マインツの闘争心は完全に切れてしまう

ブンデスU19で最も市場価値の高い男であることを見せつける!


82分 やらかすウルライヒのパスミスから失点


あれ、こんなシーン良く見たことあるような。

そういえばウルライヒはシュツットガルト時代からよくポカミスしていたことを思い出した。


86分 Don't Stop Me Now


もう伝家の宝刀になりつつある、シュポ=モティンのタメから、

サイドのコマンとロングワンツーでシュポ=モティンが決めてバイエルン6点目!

前節はこの相手がニャブリであった。

周りも生かし自分も生きる、シュポ=モティン素晴らしすぎる!

シュポ=モティンの好調ぶりは、今期限りの契約だからなのか、

という邪推も実況野村さんのプチ情報から沸き出てしまった。


◇総括

デイゲームの中、幸せな雰囲気に包まれるアリアンツ・アレーナ。

得点が入るごとに喜びが溢れ、特に応援に来ている親子の姿がとても幸せそうで良かった。

私も子供をスタジアムに連れていこうと思った。

今は石川県金沢市に住んでいるので、我らがツエーゲン金沢のゲームということになるだろう。

いつか欧州旅行した際には是非ともアリアンツ・アレーナに足を運び、

美味しいビールを飲みながら、とっても強い懇意クラブバイエルン・ミュンヘンを子供と一緒に応援して、一緒にゴールを喜んでみたい。

次節はミッドウィークのCL消化試合インテル戦を挟んで、

14位ヘルタ・ベルリンとのアウェイゲーム。

この試合含めてW杯まであと3試合、良い形で終えたいところ。

この試合で確信した。

チームはすでにNEXTレベルに到達している。

それでは。

【Mia san Mia】

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