1-8 ハローワークとイヴサンローラン
大手日系メーカー、ベンチャー企業、と2社を経て、やりたいことがよくわからなくなってとりあえず仕事を辞めてみた29歳、独身、男。仕事について、人生について、考えたり、サボったりするリアルな様を、自伝エッセイ風小説にしています。最後、現状の自分に追いつけるような予定です。ぜひお付き合い頂ければ幸いです。
失業手当を貰いながら暮らしていた僕は、職安に行ったついでに求人を見たり、家でネットの求人を見たりして過ごした。
ハローワークに行ったことはなかった。
名前はよく聞くのに、実際何をしているところかはわからない。
僕にとっては「イヴサンローラン」みたいなものだった。
「服があるところ」くらいのことは分かるけど、実際何をしていて何があるところなのかわからない。
ハローワークに行ってみるとなんのことはなかった。
住民票を取りに行くような感じで行くようなところだった。
「イヴサンローラン」もそんなところなのだろう。
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職安の求人票を見ながら漠然と、仕事はしないといけないな、とは思っていた。
クルクルクルクル。
家に帰るとマウスのローラーを回した。
そして、やはり求人は古代からあった。
古代から仕事は連綿と人類の前にあって、無限にリロードされてきた。
僕も大きな回し車の中で走る、労働的ハムスターだ。
でも、仕事は決まらなかった。
いくつか何の気なしに求人に応募しても、書類で大体落とされた。
早期離職、1回。
これは意外と響いているのだろうか。
仕事を探すのに飽きると、ヒマワリの種をついばむようにスマブラと読書をする。
そんなハムスター的日々が続いた。
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ある日、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーと電話で会話をした。
女性の若い感じの方で、『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』を引き合いに出してくれた。
自分も既読だったので、著者のHPから印象的だった箇所を簡単に紹介する。
①何のために自分は働くのか?を決めるために大事なこと=「自分の価値観」
②仕事で使っていく才能=「得意なこと」
…苦なくできる・人より上手くできる・スイスイできる・自然とできる・他人との比較で気付く
③どの分野で働くのかという情熱=「好きなこと」
…その行為自体に価値を感じる・没頭する・熱中する・夢中になる・自分の絶対的な感覚
引用:八木仁平公式サイト
この3つをベン図にした時に重なる部分が「本当にやりたいこと」だという。
この説明はとても簡潔・明快だと思ったし、自分でもとてもreasonableだ。
転職の際に考えていたことは、実は今の環境から抜け出したいというモチベーションが多くを占めてた。
本質に関して、結構おろそかにしていたらしい。
残念だ。
もう少し早く気が付いてたらよかったのに。
でもだからと言って、その軸で今仕事を考えられるかと言われれば、何とも言えない。
自分の得意なこと、好きなこと、価値観……。
これらの総棚卸しをしなくてはいけない。
これ転職の時にしたつもりだったんだけどな。
おっかしいなぁ……。
何事も、本心に従うことがカギになっているみたいだ。
to be continued...
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