TikTok、あるいは3分間のかくし芸(2023)
TikTok、あるいは3分間のかくし芸
Saven Satow
Dec. 20, 2023
「唄を歌うことは3分間のドラマの主人公を演じること」。
カラオケ広場有田
TikTokなら、3分間は有名になれます。
3分以内の動画と言えば、CMやニュースですから、TikTokにはそれに類するものも投稿されています。ただ、閲覧回数が多いのはよちよち歩きの幼児が転んで泣き出すような特にメッセージのない予期せぬ出来事です。
もっとも、そんな映像が誰にも簡単に見つかるはずもありません。そこで、動画を自作して投稿しようとなります。
3分以内では、物語を展開することが難しくても、急転直下のアイロニーで喜怒哀楽に直接訴えることはできます。この条件に合うのがかくし芸です。これにはパフォーマンスだけでなく、知識の披露も含まれます。実際、TikTokはそうした瞬間芸に溢れています。
スタイリッシュ狙いの動画も見受けられますが、たいてい凡庸です。投稿者は世界中にいます。それくらいのアイデアや技術を持つ人は他にもいるものです。自分を過信してはなりません。
優越感を示したり、公序良俗に反したりする動画は、直に感情に訴えるだけに、炎上しやすいものです。そのため、自嘲など自分を相対化するユーモアが欠かせません。
悪名は無名に勝ることはもはやありません。忘れられる権利が主張される通り、汚名返上が難しい時代です。持ち時間3分のかくし芸の間だけ有名になるくらいがいい塩梅でしょう。チクタクチクタク…
〈了〉
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?