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速読の限界−速読について考えるシリーズその2

速読は科学か眉唾か。おそらく人間の読書スピードには一定の限界ラインがどこかにあって、そこまでは訓練で到達可能なのだと思う。だから、普通の人が現在の読書速度を2倍速に成長させるくらいのことはできる。しかし、一般にフォトリーディングと呼ばれているものや、1冊1分などといった速読は嘘だろう。速読トレーニングの信憑性に関して、これが現在の僕の見立てだ。

普通の読書スピードの人間が、適切な訓練によって2倍速までスピードアップできるというのは、実体験として読書スピードが約2倍(1.89倍)に到達したことから自信を持って言える。ただし、3倍速4倍速が可能かどうかについては、まだまだ怪しいし、そのあたりに限界ラインがありそうな気がする。

僕が速読トレーニングに乗り出す際、事前のリサーチで疑問だったのは、YouTubeに信頼できる速読実演動画がなかったことだ。いまどき、筋トレからペン回しまで何かしらの分野で凄腕の人というのは、YouTubeで己の技術を披露しているものだ。しかし、速読に関しては、凄さが伝わる動画が全く見つからなかった。

もちろん自称速読師みたいな人は何人かいた。動画を見てみると、本をペラペラと異常な速度でめくっていくものの、読み終えた後に感想や内容要約などは一切無い。「はい、読めました」と自称しているだけなのだ。例えば、もし僕が速読詐欺師をやるとしたら、事前に熟読した本を用意して速読実演をする。「初めて読む本だったけど、要約すると、こうこうこういう内容の本だよね。どう?速読って凄くない?」とあたかも深く読み込めたかのように演じる。騙す目的だとしても、動画撮影にあたって、その程度の工夫は最低限しておく。視聴者が知りたいのは「そんな速度で読んで、内容が理解できたのか?」という点なのだから。それくらいの機転も効かせられないで、一体、大量の本から何を学んだというのか。疑惑は大いに深まった。

YouTubeで速読動画を漁っても、信頼できる人が一人も見当たらない。何も個人の感想だけで言っているのではなく、実際、”速読YouTuber”みたいな立ち位置の人がいない。世の速読塾の講師陣は、どうして我先にと動画を配信しないのか。すぐにでもYouTubeを使ったマーケティングに取り掛かるべきだし、取り掛からないということは、裏を返せば動画を晒すことで何か困る事情でもあるのだろうか。

速読動画のYouTubeへの投稿状況と僕の実体験から導き出される答えは、速読トレーニングで地味なレベルのスピードアップできても、動画映えするレベルでの脅威的な速読は不可能だということだ。

今、密かに期待しているのは、テレビ番組『水曜日のダウンタウン』。「速読塾の塾長なら発売前の小説をもちろん速読できて、あらすじを語って、作者からの内容確認テストにも答えられる説」をぜひ企画してほしい。

最後に速読に興味のある人にオススメの動画をいくつかピックアップしました。ご参考までにどうぞ。