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徒サ日記#004 サウナ帰省(サウナピア)

小沢健二は歌った。

「ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり」

ぼくらが旅に出る理由

2023年4月9日。風の強くてよく晴れた日。青春18きっぷ片手に東海道本線の普通列車を乗り継いで目指すは豊橋。サウナピア。学生の頃にも乗っていた211系の電車に揺られながら苦々しい思い出に耽っていた。

20代前半の僕はケッサクだ。東京に出てきて挫けてることを母に悟られないように、20万円くらいマネークリップに止めてビラビラさせて帰省していた。消費者金融で借りたカネで。

僕が26歳のときに母が他界したことに加え、姉が嫁ぐことになったことをきっかけに実家は売却されることになった。帰るべき実家がなくなって約20年になる。盆や正月に義務感で帰省して見栄を張る煩わしさはない。でも、等身大の姿で実家に帰って甘えればよかったという後悔はある。

サウナピアに行くのは今回で3回目。まだまだ新規客風情の僕がこんなことを言うのも生意気だけど、サウナピアに行くことは"擬似"帰省のようなものだ。はじめて行ったときから居心地の良さを感じていた。

創業40年の歴史に裏打ちされた丁寧な接客がそうさせるのはもちろんだけど、それ以上に、強烈に居心地の良さを感じるのは建物の構造。浴場への出入り口が2つある。

出入り口1:ロッカールームと直結
出入り口2:リクライニングシートの並ぶ休憩所と直結

この構造がもたらすのは「風呂くらい好きなときに入ればよい」という自由と優しさ。ひとっぷろ浴びてリクライニングで休んだらまた風呂に入るという流れが実にシームレスで心地よい。階段の昇り降りもいらない。回り道もしなくてもいい。風呂までダイレクト。風呂からダイレクト。最高。

この構造はもうひとつの福音をもたらす。水風呂に浸かっているとフロントの様子が見えちゃう。こんなとこ他にある?建物のサイズ感に加えてぐっと濃縮された導線が産み出すミラクル。おもしろい。

もう実家越えの居心地の良さにとことん甘える。体を洗い、やさしいバイブラで旅の疲れを癒したら、こだわりの昭和ストロングなサウナ室でじっくり蒸される。とても水道水とは思えないまろやかな水風呂で体を冷やしたら、開放感のある庭で外気浴。風呂を満喫したら、腹いっぱいメシを食って、リクライニングで爆睡する。帰りがけにもうひとっぷろ浴びて退館すると、日が傾く時間帯、サウナピアはなんとも懐かしい景色を身にまとう。

夕方のサウナピア

この景色がとても好きだ。また帰ってこよう。

追伸 この日はビンゴ大会。いいシステムだなあと思うけど、ビンゴカードは入館時に渡される1枚のみ。景品もたくさん用意してあってチャンスは平等。僕も芋焼酎をゲットしました!

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