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『推し事』という呪いについて

『推し事』という言葉を皆様、ご存知だろうか。

アイドルのオタクをやっていたことがある。
主にでんぱ組.incとlyrical schoolとMaison book girlを押していた。どのグループも楽曲から入り、リリースの度に地域を奔走し、メンバーとの交流をしてきた。前回仙台に来たのも、元でんぱ組の最上もがさんのトークイベントに参加するため、深夜バスに乗って訪れたのが初めてだった。

当時の私は、そこそこの参加率でイベントに行っていたが、それでも毎回来てるオタクはいる。
Twitterアカウントを見ていると、ほぼメンバーと同日程で動いているじゃないか。複数回ステージがある日は、しっかり全部最前で見る。
アイドルオタク七不思議のうちの一つに、『いつもいるオタクの職業』がある。なんで平日に自由が聞いて、毎回100枚単位でCDが買えて、その度に美味しそうなご飯を食べて、一軒家に住んでいるんですか?この謎は闇に葬られたままだった。

「よく毎回イベント来れますね。平日なのに」

と仲良くなったオタクに聞いてみた。

「いや、仕事より推し事なので」

と返される。「推し事」とは、応援しているファンのために頑張ってイベントに参加したり、グッズを買ったりすることらしい。
熱が入っている人は、平日も含めてイベントを全通している人もいたが、私はもっとライトなオタクだった。

2022/1/3

私は相変わらず仙台にいる。
生活スタイルにもなれ、牛タンを食べたり、毎日掃除してくれるホテルの生活にも悪くないなと思い始めている頃、私は推しの事で頭がいっぱいになっていた。

サウナに行きたい。

仕事から帰るとだいたい22時頃になる。
そこから、風呂に入り後輩の部屋に乗り込み、テレビを見ながら正月トークにふけ込む。正月番組は一人で見るものより、大人数でワイワイしながら見た方が楽しいじゃないですか。
その後、1時頃部屋に戻り寝る。
そして朝が来る。

これの繰り返しだ。
時間的に余裕がなく、サウナに向かうことが出来ない。

生活はすこぶる快適なのだ。ローカル線の時間も、当初は感覚の広さに驚いたが、15分前から電車が止まっていて、待ち時間は寒くないし、地元の生活が見える接客業は楽しい。

しかし、体がサウナを求めている。

少し息苦しくてもいい。
ロウリュウがなくてもいい。

「推し事」がしたい。
サウナのライブを見たり、サウナとチェキを撮ったり、サウナのCDを買ったりはしない。
サウナに行く という推し事がしたい。

サウナのTwitterにコメントを熱心に飛ばしたり、サウナが出るMステを録画して繰り返し見たり、サウナのブログをチェックしたりしない。
サウナにいく という推し事がしたい。

サウナの発言でモヤモヤしたり、メンバーカラーの小物が増えたり、カップリング違いの複数携帯のCDを買ったりしない。
サウナにいく という推し事がしたい。

押してない夢にサウナが出てきてちょっとだけ気になったり、浴衣イベントやサンタイベントにいったり、謎のメンバー考案ドリンクに880円払ったりしない。
サウナにいく という推し事がしたい。

どうにかこうにか衝動を抑えつつ、これからお仕事です。

デーモン閣下。
私をサウナにしてください。

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