見出し画像

Lipstick

デパートの化粧品売り場が若い頃からあまり得意じゃない。いや、化粧品大好きだからすごく楽しいんだけど、私はどうも販売員の苦手なタイプの客みたい。

「何かお探しでしょうか?」と声を掛けられるじゃん?
「赤い口紅を今日は見たいんですけど……」とか答えるわけよ。
私は化粧品屋でも服屋でも買うつもり(気に入るものがあるかどうかはあれだ)のない時にはそもそも行かない。誰かと一緒ならまた別だけど。
で、私は好みがうるさい。赤い口紅っていっても色々質感や色調は様々。そしていい色だなと思っても自分の肌に乗せてみて似合わなければ仕方ない。

似合ってると本当に思ってるのかどうかは知らないが、塗ってもらった後に
「よくお似合いです」って言葉を販売員から聞かないことがない(海外だとこれまた別)。私としてはこれはイマイチだわって場合は
「すみません。思っていたのと違いました」と正直に言うんだけど
「そうですか?お似合いだと思うのですけど」と一応笑顔?なんだけど困った顔をされてしまう。
いやね、私は気に入ったら買うよ。冷やかしなんてしない。買うつもりで来て、試し塗りしてもらってるんだからね。むしろ欲しいものが見つからない方が嫌だ。

今日もね、質感はマットかセミマットで少しだけ暗めの赤だけどマゼンタ(ピンク)っぽさがないものを見せてください、って言ったのね。容器の色やただ口紅を繰り出してただ見るだけじゃどんな色なんだか検討付かないんだよね、肌か紙の上に塗らないと分からない。もちろん唇に塗るのが一番いいんだけど。

で、5色くらいそれっぽい色を販売員が自分の手に塗って見せてくれたんだけど「これいいかも?」って思ったのは2色。私、面倒くさそうな客認定されてるっぽい?と初めに声を掛けられたときから感じていた。私って買いそうにない客に見えるというよりはクレーマーに見えるのかな。横柄な態度なんて取ってないし、買う気満々で来てるんだけどな(平日の朝一に一人で来る冷やかし客っているのかな💦まぁ、いないこともないだろうけど)。

私が販売員だったら、はっきりこういうものが欲しい、これはやめておきますと言ってくる客の方が楽なんだけどなぁ。
「お似合いですよ」も社交辞令、買わせるためなのは分かってるけど、プロだったら例えば
「お客様の肌の色にマッチしてお似合いです」
「今日のアイメイクでしたらこちらの色の方がぴったりだと思います」とか
「お似合い」と思う理由を言って欲しいのよ。じゃなきゃ対面販売の意味がないし、ただ物を売るだけの店員じゃなくて美容部員なわけじゃん。
そこまで求めるなって意見も分かるんだけどね、だったらいっそ接客は無しで良識の範囲で自由に(勝手に、ではない)試させて欲しいんだよねぇ。

こういう販売員からしたら、細かい好みは言わずに「赤い口紅欲しいんですけど~」とか、「色番号〇〇見せてください」と指名買いする客のどちらかが扱いやすいのかもね。

この間も別のブランドで口紅を買ったんだけど、その時はズバリお目当てのものがあった。私は化粧品買うときはネットで事前調査することも多くて、この色いいじゃん!といざお店に行ったら残念ながら廃番になってた。実物を見ても色が分からないのにパソコンのモニターじゃ余計分からないってものだけど、
「その色に似てるといったらこちらでしょうか」と沢山(100色はあると思う)並んでる口紅から1本取って見せてくれた。それはネットで私の欲しかった色と似てるとよく検証されていた色。うん、確かにいい色だ。けど他にも良さそうなものあるかな~と
「ゴスっぽいメイクしたくて口紅探してるんですよね。けど私、赤や濃い色の口紅、好きなんですけど全く似合わなくて浮いてしまうんですよ」と言うと
「似合わないんですか?どうしてでしょう」と販売員。
「私、口が小さいので舞妓さんとか七五三の子供みたいになってしまって」
「私も口が小さいからよく分かります。だったら赤みが少ない方がいいかも知れませんね。そうしたら浮きにくいです」
他にもカッコいいゴスっぽい色あったんだけどね、黒に近い暗い赤紫とか、本当に真っ黒とか。けど最初に見せてもらったものを試し塗りしてもらったらなかなかイケてたのでそれを買ったというわけ。ちなみにもうすぐ廃番になるということで在庫の最後の一本だった。ラッキー!
うん、この販売員は私を面倒くさい客と思ってたかも知れんが、私としては良い方だと思ったしまた買う時にはいてもらいたい。

ヘッダー画像は見ての通り自前のマニキュア(ごく一部)なんだけども、色に興味のない人には「全部似てる、っていうか同じじゃん」って思われるのかも。私としては微妙なニュアンスの違いを楽しむのが乙なんだけどね。

今日買った口紅の色の名前はrouge paradoxe。素晴らしい。粋だ。この間買った口紅はfilm noir。これまた、たまらない。