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映画から学ぶ 「脳内ポイズンベリー」〜誰を好きかより、誰と一緒にいる自分を好きか〜

私には定期的に訪れる「映画をたくさん観たい時期」というのがあり、今ちょうどその真っ只中だ。

スクリーンで見たいものがその時やっていれば映画館にも行くのだけど、主に渋谷TSUTAYA様にお世話になり、旧作DVDを借りて家で観ることが多い。大体1週間レンタルで7本前後借りて、(関係ないお笑いのDVDも入れて)1日に1、2本消化する感じ。
ちなみに映画館で見るのはこじんまりとした映画館でちょっとサブカル寄りな作品を見るのがわりと好み。

洋画も邦画も含めて割となんでも見る、と言ってもアクションやSF、ファンタジー、ホラー、難解なやつはほぼ見ないので、ほんとの映画好きの人からすれば鼻で笑われるレベルだが、嫌いな食べ物が多い自称・食通とかがいてもいいじゃんと思う派なので、私レベルでも「普通に映画好き」くらいは名乗っていいと思ってる。


そんな感じで最近は毎日空いた時間で映画を見るのだが、せっかくそれだけ見ているのだから少しは自分という人間の糧にしていきたいとも思う。とりあえず最近の小さな目標にしてるのは、映画でもなんでもそうだが「自分がいいと思った作品を人に勧めてみる」ということをしていきたい。

そこそこ観るので好きな作品や感動した作品もそれなりにあるのだが、それがどうよかったのかとか、どう刺さったのか、みたいなことを言葉にするのが激烈に下手くそだと前から軽く悩んでいた。
年齢もそれなりに重ねてきたわけだし、そろそろ自分の経験値として映画という体験を語れるようなイカした大人になりたいなと思う今日この頃、今日はこの場を借りて、最近印象に残った映画をご紹介したいと思います〜!


第1弾(今後もあるかも?)は「脳内ポイズンベリー」という作品です。(サムネ画像参照↑)

真木よう子さん主演のラブコメディで、私は普段あんまり見るジャンルではないのですが、おすすめ映画のサイトを検索して複数の人が勧めてたのをみて借りてみたらとってもよかったものです。

大まかな内容は、真木よう子さん演じる30歳になった独身女性が、年下のアート系男子に恋をしてしまう話なのですが、この好きになった男性と関わり合うさまざまな場面で、女性の脳内で「会議」が行われます。

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その会議メンバーが主に上の写真のメンバー5人で、それぞれキャラクターや役割があり、記憶・衝動・理性・ポジティブ・ネガティブ。

最初に男性と出会うのは友達の仕事関係の人たちとの飲み会的な場で、その時二人はほぼ会話をしないのですが、偶然電車のホームで彼を見かけた時、話しかけるか話しかけないかでまず脳内会議が行われます。

衝動やポジティブは、自分の感情に素直に「なんかドキドキしてるし好きなのかも!話しかけちゃおうぜ!」ってな具合なのですが、

吉田羊さん演じるネガティブは「何言ってんの? 向こうは覚えてないだろうし話しかけたらきもいと思われるからやめとけ!」のようなことを言います。
ここで西島秀俊さん演じる理性は会議長のような役割で、記憶にそれまでのデータを確認しながらそれぞれの主張をききつつどうするか考えています。

私はこの序盤の時点ではっと気がついたのですが、自分は完全に「吉田羊さんのネガティブ」にめちゃめちゃ共感してしまってて、「いやこんなん話しかける訳ないやろ」となっていました。そして、その後の物語のあらゆる場面でみんながそれぞれの意見・主張をする中、羊さんは常に恋の進展を邪魔するようなネガティブ思考を繰り広げるのですが、その度にこの“ネガティブ羊さん”の発言に私は一番共感していて、まるでいつもの自分の脳内を見透かされているような気分になりました。

つまり、私は恋愛や友達などあらゆる人間関係における脳内会議で、めちゃくちゃネガティブな思考が強い吉田羊タイプの人間なんだなと、作品が進むごとに思い知らされていき、時間が経つにつれ怖さすら感じていました。


一方この物語の中では、ネガティブ思考以外の色々なメンバーの声によりこの男性に話しかけ、二人は恋に落ち、見事すぐに付き合うことになります。ところがその先にも色々な展開があり、その度にこのメンバーで脳内会議が行われ、時には別の世界から謎の奴が現れたり、メンバーの誰かが眠ってしまったり、、といった感じで恋する女性の脳内の葛藤をユーモラスに描いた愉快痛快なラブコメ作品でした。


私がまずこの作品に惹きつけられたのは、誰もがこの「会議メンバー」を脳内に持っていて色々な場面で会議を行っているわけですが、人によってその思考のどの要素(キャラクター)が強く出てしまうかが違い、そこから発する言葉や行動、大きく言えば「性格」につながっているんだな、というところまでみてとることができたことです。

先ほど私がいったように、自分自身は「ネガティブ羊さん」のキャラクターにめちゃくちゃ共感するところばかりで、逆に衝動やポジティブが言うセリフには「そんなふうに素直になれたらいいな」と憧れつつも、どこかでその意見を押し殺そうとする自分に気づいたりしました。
一方で何かを決めるときに、それまでの記憶を整理したり、常に理性的に考えてちゃんとしていようみたいな気持ちも入り混じったり、それぞれのキャラクターの発するセリフがとてもリアルに感じられたのが、好きなポイントでした。

そして、これはほぼネタバレになってしまうのですが、物語の終盤で彼と上手くいかなくなってきたときに、彼との関係をどうするかで脳内会議が行われたとき、理性の西島さんが言った

「大事なのは誰を好きかなじゃなく、誰と一緒にいる自分を好きかと言うことだ!」

というセリフがその時の自分にめちゃくちゃ響きすぎて、その瞬間、今後自分が人間関係で色々悩む度にこの西島さんの顔とセリフを思い出すことになると確信しました。


詳しくは映画をぜひみていただきたいのですが、誰かと上手くいっていない時、誰かと一緒にいることで不安になっている時、それはその人のことが好きであるという気持ちとは別に「この人と一緒にいる時、自分は幸せを感じられているのか」と言う問いが、かなり大事なのだと感じました。

そして、もしその人と一緒にることで自分が「不幸になっている」もしくは「自分のことが好きではなくなっている」のであれば、その人のことを好きでいて一緒にいること自体が自分を苦しめていることなのだと早めに気づいた方がいい、と言うことなのではないかとこの映画から深く考えさせられました。

ラブコメディということで全体的にとてもポップで見やすい作品だと思うのですが、とても深くて示唆に富んだ部分がたくさん出てくる、個人的にもおすすめの映画でした。まだみたことがない方、特に恋愛や人間関係で悩みを抱えている方にはぜひ一度見てもらうと何か気づきがあるかもしれません。


誠に勝手ながら、今回はおすすめ映画紹介をさせていただきました〜 好きな映画や本を人にいい感じで紹介できる大人を目指して、またここでも紹介させてください。それでは!

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