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30歳のハローワーク

自分には何もないんだよなというのを最近はますます痛感する日々なのですが、この時期にコロナになって、私にとってはちょっと良かったのかも?と思う瞬間もある。

もし世の中がこうなっていなかったら、私はきっと今も音楽活動を続けていたと思う。関東のお世話になってるライブハウスで毎月歌って、少しずつ活動範囲を広げて遠征ライブをしたり、曲も少しずつ作っていただろう。


そんな生活がかろうじてまだ続けられていたのは、もう半年前のこと。今は音楽に触れることもなく、その空白を埋めるように新しい興味や趣味や仕事を探している。

前々からなんとなく漠然と「30歳」で何か変えたいという思いがあった。なんとなく自分がかっこいいと思っている大人で遅咲きと言われている人たちが30歳で今の職業を始めてる人が多かったから。(例えばタモリさんとか村上春樹さんとか。)だから自分も遅咲きの30歳で何か見つけたいという思いがずっとあったのだ。

そんな30歳になって、来月31歳になる日まであと1ヶ月くらいになった今、大きく変わったのは音楽をやめたこと。

そして今現在、私は何者でもない。詳しく言えば介護福祉士夜勤専門職という肩書きだが、正直これは始めた時は一生続けたいと思って始めた職ではなかったが、気がついたら同じ会社での8年の経験値と職歴がついてた。これだけ見たら大したもんだなと思う。

大学生の時、決して熱心ではないけど一応、就活生だった。その時考えてたのは、卒業したら音楽をしたいけど流石にそれだけでいきなり生きていくのは厳しいし、家計が苦しい状況で奨学金を返さなければならないので、ほぼそれ以外の選択肢がなく就職活動をすることにした。

けれども大学までのいくつかのバイト経験で、私は仕事の能力やコミュニケーション能力に偏りがあり、本当に合わない職場では使い物にならない人間だと分かったので、社会に出て生きることが不安で、ちゃんとした社会人になる自信がなかった。
自分のような人を受け入れてくれるような仕事がこの世にないかもしれないと思い、とても怖かった。

そんな時に「大丈夫ですよ」と手を差し伸べてくれたように見えたのが、介護業界だった。福祉の勉強もしたことがないし、バイトもしたことはなかったが、母親が病気で半身を悪くしてから家に介護士さんが来るようになり、その優しさにいつの間にか私も新鮮さや癒しを覚えていた。

就活中、色々な種類の会社をみたりエントリーしたり説明会に参加したりしていたが、気がつくと介護の会社を探してそのページを見ていた。もちろん就活自体へのモチベーションが高くないので、たくさん色々見たわけではないのだが、「ここなら私でもゼロから学ばせてもらえるかも」と思ったのが介護業界で、その中に今勤めている会社があった。

内定をもらったとき家族からは業界自体に反対されたのだが、自分の直感と勢いともう就活したくないという気持ちで押し切って、そこに入社した。もちろん何の経験もない場所で最初大変なことも多かったし、人間関係はやはり下手くそすぎて病むことも多かったが、振り返るとこの会社だから私でも8年も社会人としてやれているんだろうなとも思う。
会社がシフト制でお休みの融通が割と効いて、給料もちゃんともらえてたおかげで、音楽活動も好きなようにやることができた。


そんな8年間で今の会社を辞めたいと思ったことや転職サイトに登録したことは一度や二度ではなくて、でもそれは他の会社に行ってもきっと辞めたいと思う瞬間はあるのだろうなと思う。むしろなんだかんだ言いながら8年も同じ会社で自分が社会人やれていることが奇跡だ。


この8年間で異動を2回経験したりしつつ、色んな職員や入居者と関わらせてもらって、介護経験も積ませてもらって、今この会社の仕事のやり方には少なくとも一定のやり切った感を感じている。


大学生の時何の仕事もできないかもしれないと思ってた私は、介護に関しては「資格も技術もあります」と言えるようになった。今の会社に社会人に育ててもらった。それには心から感謝している。

その上で、この先60歳定年の年くらいまで働くとしたら、介護以外に私は何かで人の役に立ったり、自分の能力を発揮したり、ワクワクできることはあるかなと考えながら、もう一度自分のできそうな、やってみたいと思う仕事を探している。

でもあの頃と違うのは、新卒ではない30歳という年齢であるし、介護の経験しかない分、中途で雇ってもらえる会社は限られるということ。転職サイトを見ていて感じたが、未経験の30代でもできる仕事ってかなり限られているんだと知り、少し絶望しかけている。

けれどもあの頃よりも強いのは、圧倒的に自分の能力や性格についてはよく分かっていること。そして転職といっても働き方には色々な選択肢があって、起業したり自営業になる人もいる、そんな選択肢は大学生の時には考えたこともなかった。結婚して家庭を築く人たち、海外に行く人たち、夢を追いかけている人たち、あの時よりもある程度の経験と知識と財力がある今、これからの人生は色々な道が開かれている。

大学の時同じ場所にいた人たちは、30歳になって気づいたらどんどんそれぞれの人生を突き進んで、気づいたら新たないろんな人たちに出会っていた。これが8年の軌跡なんだと振り返ると、私の8年間は主に音楽と介護士の仕事であったし、今持っているこの経験値から私はどこへ進んでいくのか、何がベストの道なのか、ずっとずっと頭の隙間で考えている。


とりあえず英語と文章の力は必要だと思って、それを毎日やっているけど、それらが生かせる場所に行けるかもわからないし、点と点が繋がるのか、はたまた全然違うものを始めるのかもしれない。


そんな30歳とコロナと音楽休止を機に、音楽への情熱など失ったこともあるけれど、やりたいことへの視野は広がっている。音楽をしてたときはそれが最優先のことだったので、多分コロナがなければ他の選択肢を探してないし、始めても出会ってもないこともないことがあっただろう。

いま、大学生の時のような不安はなく、8年やってきたことの足場はちゃんと自信になっていた。その自信がある上で、未知の何かに挑戦したいという意欲が高まっていると思う。

弾き語りの活動をちゃんと始めたのも23歳で遅かったし、私は何でも遅咲きの人生だなと自分で思う。だから今から何かまた熱中できることを始めるのもきっと遅くない。
そして、今はまだ時間がかかるけど、また音楽を楽しくやれるようになりたい。納得できるタイミングで、またちゃんと向き合ってみたいのです。
まだまだ何でもできるって言い聞かせながら、ワクワクできる自分になれるように、今しっかり準備しつつ、またきっと少し違う姿で元気に動き出します。

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