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テロリズムの特徴

9.11の光景は今でも昨日のことのように思い出すだろう。あれから20年たつが、なぜ世の中からテロはなくならないのだろうか。そして、今後、どのようにテロを抑えていくべきだろうか。今回はそんな問いの入口へと招待する。

テロリズムとは何か


①政治的な変革を目的とし、暴力又は武力の威嚇を通じて、意図的に恐怖を作り起こしこれを利用すること。(ホフマン)
②政治および社会全体に影響を与えるべく、あるグループに対して暴力を使用することにより恐怖を拡散する手法ないしメカニズム。(バッカー)
③社会への何らかの訴えかけが意図された、物理的な被害溶離も心理的衝撃を重視する暴力行為。(片山)

〇研究者のテロに対する一定の合意点
政治的な動機を目的としている。
②政治的な動機を達成するため、多数の人に対して恐怖の拡散を行っている。
③政治的な動機を達成するため、違法な暴力・暴力を使った威嚇を使っている。

テロの特徴① 国家とテロ組織に不釣り合いが存在する。


防御側と攻撃側で不釣り合いが発生しているため、テロ組織が有利になる点も存在する。そのため、テロ行為がなかなか断絶しない。具体的には情報の非対称性、財政的コストの非対称性、政治的コストの非対称性などの不釣り合いが発生している。


情報の非対称性
民主主義国であれば、ある程度の軍事情報を公開する必要がある。しかし、テロ組織が情報を公開することはほとんどない。そのため、国家は限られた情報でピンポイントの場所を捜索せざるを得ない。そんな中、テロ組織は余裕ぶりながら、公開された情報をもとに攻撃の計画を立案することができる。


財政的コストの非対称性
お金に関して、攻撃側よりも防御側の方が大変になる。防御側は高額で高性能な商品や多くの人員が必要になるが、攻撃側は簡単な商品、比較的少ない人員しか必要にならない。防御側は広い範囲を長い間警戒しないといけないが、攻撃側は一転を自分たちの勝手で攻撃するだけでよい。


政治コストの非対称性
政治に関しても、攻撃側よりも防衛側の方が大変になる。民主主義国家は常に国民の監視下に置かれているため、法令や倫理を遵守しなければ叩かれる。一方、テロ組織は、守らなければならない法令や倫理が存在しない。

テロの特徴② 3つの資金が存在する。


・3つの資金源
海外の仲間からの支援
合法的な活動
慈善団体を設立して、そこでもたったお金をテロ資金として使っている。
非合法的な活動
違法な物品(薬物、武器、石油、骨とう品など)の密造・密売・密輸、支配している地域からの回収、誘拐による身代金の獲得などから集め、テロ資金として使っている。

テロの特徴③ 攻撃手法に爆発物、襲撃が多い。


爆発物を使った攻撃、武力を使った殴り込みが7割以上を占めている。一方、人質を使った立てこもりやハイジャック(航空機の乗っ取り)は1割以下を占めており、あまり多くはない。(成功率が低い事、労力がいる一方でリターンが少ないなどが原因と考えられている。)


・自殺テロ
定義として「政治的目的のため、他者を殺害する目的で故意に自殺すること」が用いられている。一般的に爆発物(+車両、船、航空機など)を使った「自爆テロ」の形態が多い。自殺テロは、不利な状態(非対称性)を容易に覆すことができ、事を大きくすればメディアに取り上げてもらえるため、テロとして好まれると考えられている。

テロの特徴④ 中核支配型の組織形態と自立型の組織形態が存在する。


テロ組織の中には、幹部が計画を立案し、直接指導をした後、中心人物の指示に従って攻撃する組織と、幹部との関わりなく、勝手にテロ行為を行っていく「自立型」の組織がある。


・自立型テロが増えた要因
①国家のテロ対策が進んできたから。
SNSやネットワークが発達・普及してきたから。
テロ組織も労力もかけずに宣伝でき、実行犯は組織の名前を使うことで注目を集めることができることに気づいたから。


・組織形態の種類
完全自律型
組織幹部と実行犯とに一切の関係がない組織形態。
テロ組織中核による便乗型
組織幹部と実行犯とに支援の関係はないが、実行犯が「組織に忠誠を誓います」と表明することで、組織も「我々の仲間の犯行である」と宣伝する組織形態。
遠隔操作型
組織が実行犯にある程度指導・監督をオンラインネットワークを通して行っている組織形態。
フランチャイズ型
本部とは離れた別の場所にも拠点を構えているが、組織からの指導・監督はなく、自立した攻撃を行う組織形態。


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