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深緑色の油粘土

小学校1年生の頃、親の仕事の都合で姫路から大阪へ引っ越して、転校することになった。

夏休みの間に転校して、2学期から新しい学校へ。

転校自体は特に嫌ともなんとも思っていなかったのだが、
転校してしばらく経った頃、図工の授業で事件は起きた。

その日は油粘土で作品作りをするという授業だった。

私は母が用意してくれた、前の学校でも使っていた深緑色の油粘土を持って行った。

そしていざ授業が始まると…

なんと、
周りの子の粘土は全員白色だった!!!

えぇっ!!!!

なんで!?!?

なんで深緑じゃないんですか!?!?

私は自分だけ深緑粘土なことがすごく恥ずかしかった。

今思えばこの学校では学校指定の粘土が白色で
前の学校ではたまたま深緑色というただそれだけだったのだが、
当時の私はとにかく目立つことが嫌だった。

私はこじんまりと何かを作ったが、最終的にみんなの作品が後ろのロッカーの上に並べられた。

白い粘土の作品群の中、一つだけ深緑。

今なら「やったー!オイシイ!」と思えるけど、
あの頃の私は
“みんなと同じように” “できるだけ目立たないように”
そういう風に考えながら生きてる子どもだった。


さっとん

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