Amazon CEO ジェフ・ベゾスの言葉 4

Amazon CEO ジェフ・ベゾスが毎年発行している「株主への手紙」。自分で読んでみて、「ビジネスパーソンにも役立ちそう」と思った部分を抜粋してご紹介します。

今回のテーマは「失敗」。

新しいものを生み出すには実験がつきものです。常識は大抵正しいですが、大きなリターンは、常識に対して逆張りすることによって、もたらされるケースがしばしばあります。もし100倍のリターンになって返ってくる可能性が10％ある賭けに出会ったら、いつだって乗るべきです。フェンス目掛けて思い切りバットを振れば、たくさんアウトにはなるものの、時々ホームランも生まれることを私たちは知っています。ただ、野球とビジネスには違いもあって、野球の場合は成果が一定のところで刈り取られてしまうのです。バットを振って、それがどんなにボールにヒットしても４点までしか得られません。ビジネスでは、打席に出たら、一気に1000点稼げることもあるのです。（2015年の「株主への手紙」より）

【原文】To invent you have to experiment, and if you know in advance that it’s going to work, it’s not an experiment. Outsized returns often come from betting against conventional wisdom, and conventional wisdom is usually right. Given a ten percent chance of a 100 times payoff, you should take that bet every time. But you’re still going to be wrong nine times out of ten. We all know that if you swing for the fences, you’re going to strike out a lot, but you’re also going to hit some home runs. The difference between baseball and business, however, is that baseball has a truncated outcome distribution. When you swing, no matter how well you connect with the ball, the most runs you can get is four. In business, every once in a while, when you step up to the plate, you can score 1,000 runs.

「100倍のリターンになって返ってくる可能性が10％ある賭け」を見極める方法は、こちらのエントリーが参考になります。

それでも危険な賭けには変わりなく、「怖いな」と思うのが人情ですが、それについてベゾスは次のように回避策を述べています。

Amazonでは、素早く失敗して、上手くいくまで軌道修正を繰り返すことが正しいと信じています。このプロセスが上手くいくなら、失敗は比較的小さくて済むのです（多くの実験は小さく始められますので）。それで、顧客が本当に喜んでくれそうな何かを遂に突き止めたら、大きな成功になると願って集中的に投資するんです。とはいえ、いつもこのようにコトがきれいに進むわけではありません。新しいものを生み出す過程は混沌としているので、いつか私たちも、大きな賭けで負けてしまうことは避けられないと思っています。（2013年の「株主への手紙」より）

【原文】We understand that and believe in failing early and iterating until we get it right. When this process works, it means our failures are relatively small in size (most experiments can start small), and when we hit on something that is really working for customers, we double-down on it with hopes to turn it into an even bigger success. However, it’s not always as clean as that. Inventing is messy, and over time, it’s certain that we’ll fail at some big bets too.

「決断」のところでもその傾向がみられましたが、ベゾスは基本的に、悩んで遅くなるより、素早く動いて失敗することを推奨します。

一方、ベゾスは「それでも、失敗は避けられないだろう」と現実的な諦観も示していて、個人的にはベゾスのそういうところを尊敬します。

尚、上で引用した「株主への手紙」の全文（英語）はここで確認できます：https://ir.aboutamazon.com/annual-reports-proxies-and-shareholder-letters/default.aspx