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ライターと呼ばれるのが嫌だった【Advent Calendar 2021】

私は取引先や知人から「ライターのさつきさんです」と紹介されるのが嫌でした。

ライターと呼ばれるたびに「本業は採用コンサルタントなんですけどね」といちいち付け足していましたが、自分の収入源のほとんどはライター業というのも事実です。

コンテンツマーケティングの仕事との出会い

2018年、私がまだ会社員だった頃、コンテンツマーケティングやSEOライティングと出会いました。

当時の会社はSoftbankグループの会社からスピンアウトした小さな会社で、私は社員5人目として入社。もともと人材紹介事業に関わる予定で転職をしました。

しかし売上の大半はフリーランスをチーム化したWeb制作の受託事業だったため、私は人材紹介事業ではなくWeb制作事業のプランナーとしてアサインされました。結果、複数のコンテンツマーケティングのプロジェクトを担当することになったのです。

本当に小さな会社だったので、プランナーと言いつつも、クライアントへの企画提案から予算決め、チームづくり(全国にいるフリーランス登録者と面談しプロジェクトにアサインし教育)、メンバー育成、記事の校正校閲から納品、検収書や請求書の発行まで業務範囲は非常に幅広く忙しい日々を送りました。

コンテンツマーケティング以外にも、キャンペーンLPの企画デザインや、インフルエンサーを絡めたSNSのPR企画、Web広告の運用提案、大型PRイベントの事務局などなど…。一時期は月150本の記事納品を抱えながら営業をしていたこともありました。

そもそも私は人材紹介業に関わるためにこの会社に転職しています。そのため「なんでコンテンツマーケティングなんか興味ないことばかりやっているんだろう」と、全然気持ちが乗らないまま日々を過ごしていました。

気が乗らないと言いながらも、某有名ブライダルメディアのコンテンツマーケプロジェクトの責任者を務めたり、気付いたら30名ほどのディレクター・ライターの組織をつくっていたり。なんだかんだで仕事は成果が出るまで真面目にやるので、楽しくないわけではなく。

それなりに知識を身に付け、独学ながらもWeb制作やコンテンツマーケティングの全体像はとらえ、取引先のお客様とはめっちゃ仲良くなりプライベートでご飯に行ったりもして。それでも、「もうこれ以上Web制作はいいや」と区切りをつけて、再び人材業界へ転職することになりました。

私が辞めて間もなく、人材紹介事業はクローズしたそうです。1年と短い間でしたが、複数のフリーランスの方と出会い、コンテンツマーケティングという仕事を知ったことは、後の人生にさまざまな影響を与えることになります。

退職を申出たらその日が最終出社日になった

2019年、私は外国人材の採用支援をする10名ほどの人材ベンチャーで働いていました。
2018年に1年在籍していた会社では人材紹介にほとんど関われず、毎月ひたすらライターの記事納品に追われていたので、今回こそ人材の仕事をするんだと意気込んでいました。しかし残念ながら、この人材ベンチャーの仕事もあっけなく終わりを迎えることになります。

忘れもしない2019年9月25日金曜の午後。私は社長を近所のカフェに呼び出して退職の意思を伝えました。
9月末にお伝えすれば、恐らく10月末ないし年内には辞められるかなと。まずは退職の許可をいただいて、転職については後から考えようと思っていたのですが、社長の口からとんでもない言葉が出てきました。

「ちょうど明日から三連休でキリがいいし、今日が最終出社日でもいいかな?」

正直、私はもう呆れてしまったというか、言い返したり調整し直したりする手間を省きたかったので、素直に「わかりました、そうしましょう」と承諾しました。
帰社後すぐに身辺整理を行い、社会保険の手続き書類をネットで調べて印刷・記入し、定時ぴったりに皆さんありがとうございましたと簡単な挨拶をして出てきてしまったのです。

ちなみに転職先が決まっていない状態で離職するのが初めてでした。当面の生活費を貯金していたわけではなく、必然的に個人開業をせざるを得なかったんですね(そもそも転職回数が多く、転職に対してネガティブ感情が爆発していた時期だった)。

週末、貯金0円にも関わらず10万円のパソコンを買い、人事労務freeeに登録して個人事業の開業届を作成して、10月1日付で晴れて個人事業主デビューに至りました。

お金がないなら記事を書け

10月1日付で個人事業主になった私は、とにかく10月末の給料補填をしなければまずいと考え、真っ先にライターの仕事を探しました。

というのも、クラウドワークスを通してライターの仕事を獲得できれば、記事を納品したタイミングで報酬が振込になります。キャッシュが欲しい私にはクラウドソーシング×ライターは本当に命拾いの仕事だったんです。

同時期に人材ビジネスの業務委託募集も探して、運よく11月開始の仕事も契約ができました。とはいえ11月稼働分は12月末振込になるので、しばらくお金のやりくりに慎重になったのは事実です。

そこで年内は、単価が低くてもクラウドソーシングの案件をひたすら書き、足元の生活費を稼ぐ日々となりました。
※たしか1文字1円単価くらいで月15万くらい稼いだ記憶…。

やっぱり本業は人材ビジネスだ

年が明けて、徐々にフリーランス生活にも慣れて、有難いことにライターよりも人材ビジネスのほうが忙しくなっていきました。
2020年のはじめごろは、採用コンサル、人材紹介、求人広告制作ライター、小規模な人材ベンチャーの経営支援、先輩フリーランスの会社手伝いなどに従事していた記憶があります。

月々の報酬は会社員時代を超え、税金負担はあるものの生活は安定しているし、だったらクラウドソーシングの安価なライター案件はもうやめようと決意。数か月お世話になったライター案件とは区切りをつけ、以後半年ほどは人材ビジネスに没頭していきました。

経験の掛け算をしたら価値はどこまで上がるのか?

個人事業が2期目に入るころ、私は事業をどう大きくしていくべきか少し悩んでいました。このまま採用コンサルや人材業だけで食べていくこともできると思ったものの、せっかくなら今までの経験を漏れなく活かしつつ、個人ブランディングを強化できたほうがいいんだろうなぁと考えました。

というのも、周りを見渡すと人材ビジネスで起業している人は多く、皆さんだいたい「リクルート出身です」「人材メガベンチャーで〇〇責任者でした」「大手〇〇社の人事コンサル経験があります」など、香ばしいアピールをされています。
この人たちと正面から戦う気はないけど、同じ部類の人と一括りにされてしまうと、今後発注がもらいづらいかもなと考えたりしたわけです。

職業病なのか、私は2~3か月に1度は職歴書やポートフォリオをブラッシュアップしていました。キャリアの棚卸しで直近の数年を振り返った際に、短いながらも独学で身に付けたコンテンツマーケティングの知見を、どうにか使えないかなと考えました。

いろいろと考えた結果「人材業の経験と知識×Webライター」の掛け合わせなら、意外と希少性も高くいけるんじゃないか?と確信しました。そうして個人事業主2期目からは、一気にWebライター・編集者の仕事を増やしていったのです。

売上あがってもライターと呼ばれるのは嫌だ

2021年12月、気が付けば年の瀬。今年を振り返る時期になりました。2021年度はライター売上がだいたい全体の7割ほどを占めており、「人材業の知見×Webライター」という経験の掛け算は見事に的中となりました。

最近では、人材紹介会社、人事システムを提供するベンダー、社労士や労務向けのサービスを提供する会社、人材研修サービスを提供する会社などから、継続的に発注をいただけています。
皆さまのおかげで、本当に充実した1年を過ごせたのは事実です。本当にいつもありがとうございます。

ですが、これだけ書いて書いて書きまくり、企画を作ってはライターさんに修正指示を出し進捗管理をしていても、「ライターのさつきさんです」と紹介されることは、未だに抵抗があるのです。

今年を振り返ると、たしかに収入の大部分は編集者・ライターの仕事が占めていました。しかし私はいつも「書くために」仕事をしているのではなく「お客さんの目的達成の手段として」書く仕事をしています。ここだけは、変なこだわりですが譲れないポリシーです。

けっきょく今回のアドベントカレンダーで何が言いたかったかというと、ライティングは、お客さんが事業の売上を拡大したり、人を採用したりするための手段でしかありません。

記事を書いて納品することがゴールではないのです。

なので、感覚的には採用コンサルの一貫としてライティングしていたり、営業やマーケティング支援の1手段として記事の編集をしています。
この目的意識が強いからこそ「ライターのさつきさん」と呼ばれることに違和感があるのだなぁと気付きました。

(最近書いた「稼げるWebライターになるために」の記事の中でも、この目的意識の重要性について語っています)

どんな仕事も最終目的は「事業売上をあげること」「特定のサービスを売ること」のはずなんですよね。ライターだけでなく、デザイナーもエンジニアも、営業も事務も管理部も、どんな職業ポジションも必ず目指すべきゴールは一緒なはずだと思っています。

個人事業主の私にとって、ライターは生活を支える仕事であり、個人ブランディングのための仕事でもありますが、やっぱり最後はお客さんの売上を大きくするためにやっていきたいと思っています。


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