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全国水族館の旅⑥おたる水族館

日本は水族館大国として有名ですが、一番水族館の多い都道府県はどこでしょうか。1位は北海道と和歌山県だと言われています。東京は3位です(下記リンク参照)。

道民でない方には、北海道の水族館制覇はとても大変だと思います。そんな水族館王国の北海道より、おたる水族館の魅力をお伝えします。


海と水族館が合体! たくさんのスターや固有種が大集結!!

各地の水族館では、それぞれの地方の固有種・希少種の展示に力を入れています。特に北海道は固有種がとても多く、現地の水族館では貴重な水棲生物と数多く出会えます。また、おたる水族館は日本で唯一ネズミイルカを飼育している施設(2023年現在)であり、かなり大きな強みを持っています。

これだけ貴重な出会いのできる水族館に、札幌から比較的スムーズにアクセスできるのは誠に嬉しいです。セオリーとしては、JR北海道の札幌駅から小樽駅まで電車で向かい、そこから水族館行きのバスに乗ります。
トータルの移動時間は1時間30分弱だと思います。北の海を眺めながらの移動はとても爽快でした。

JR北海道の札幌駅から小樽駅まで電車1本で着きます。車窓からは海が見えるので、とても爽やかな心地になれます。
駅を出てバスロータリーへ。地方バスに乗るのもワクワクしますね(笑)。

おたる水族館はパワフルな海獣展示が大きな見どころ。なぜなら、海そのものを屋外展示場とし、海洋哺乳類たちをダイナミックに見せているのです。
海沿いの水族館ならではの素晴らしい創意工夫だと思います。来館者は、きっとここで冒険的な1日を過ごせるはずです。

魚類展示につきましても希少種や大型種が多く、インパクトなら海洋哺乳類たちに負けていません。入館前からアドレナリンMAXな状態で、館内へと突撃します(笑)。

水族館が面するのは石狩湾。小樽の海は、とてもきれいで豊かです。

小樽の海風を浴びながら楽しむ贅沢な時間

希少種・固有種との出会いから北海道の自然を学ぶ

最初に目玉を取り上げますと、本館はネズミイルカを飼育展示している国内唯一の水族館です。加えて、おたる水族館のネズミイルカ飼育記録は世界最長を誇っており、あるオスの個体は24年間も生きていました。
まさに本館のトップアイドル的な存在なので、小さく可愛いイルカたちの姿をくまなく観察しましょう。

ネズミイルカ。国内の飼育施設では、おたる水族館でしか見ることができません。丸っこいお顔が可愛い!
ネズミイルカはイルカとしては小型であり、オスでも全長1.7 mほどです。漁師さんの網に引っかかって死んでしまう個体もいるので、水族館では保護のための研究も行われています。

可愛いネズミイルカたちを存分に堪能したら、北海道の誇る固有水棲生物たちと出会えます。
固有種との出会いを求めて沖縄県や鹿児島県に行かれる人は多いですが、北海道も固有生物の数と多様性は負けていません。魚類・甲殻類・両生類など、道内の水域環境にしか生息していない生き物はたくさんいるのです。

北海道の固有種である淡水魚オショロコマ。イワナの仲間であり、水底の石の隙間に身を潜める習性があります。他の地方には棲んでいない超レア種なので、魚マニアならぜひとも会いたいですね。
北海道産の大型淡水魚イトウ。不敵な面構えがイカしています(笑)。成魚の全長は1 m以上にもなり、ビワコオオナマズと並ぶ日本最大クラスの淡水魚です。
ニホンザリガニ。北海道だけでなく東北地方にも生息していますが、極めて希少な淡水甲殻類です。外来種の影響で個体数が減っているため、多くの方々が保全活動に取り組まれています。

もちろん、優雅な海洋生物たちの展示も見どころ満載です。どの子たちも、生き生きとして来館者を出迎えてくれます。
ユニークな生き物たちの表情から目が離せません。

大きなミズダコ。水族館のキャプションにも書いていますが、吸盤の並び方でオスかメスか識別できます。
こちらはヌマガレイ。名前の通り、海に近い湖や川にも現れます。他のカレイ類とは目の形態や模様が異なります。
ウツボとウミヘビが同じ穴に入っている? とても平和的な光景ですね(笑)。

水族展示のボリュームは非常に濃密であり、かなり多数の生物種と対面できます。魚たちの形態はどれもユニークであり、奇抜さと可愛らしさが目を引きます。
全ての展示生物たちをじっくりと見て、その魅力を感じ取ってください。

水槽の下部には生き物たちの豆知識満載のキャプションがあります。すごく興味深い内容なので、ぜひ全部見ていただきたいです。
巨大なチョウザメたち。かつては北海道の河川にも、ミカドチョウザメやダウリアチョウザメが生息していたと考えられています。

そして、屋内水族展示で最も目を引くのは、北方の海洋をイメージしたリング型の大型水槽。大型のカレイ類オヒョウをはじめ、独特でかっこいい魚たちがたくさん泳いでいます。360℃の水の世界をゆっくり観覧して、不思議な雰囲気を味わいましょう。

オホーツク海・ベーリング海をイメージした大水槽。ネズミザメの剥製も飾られています。
怖そうなオオカミウオも、岩の上で休んでいると可愛いですね。

海は巨大な水槽! 雄大な海獣たちがお出迎え

本館には、屋外に「海獣公園」という海洋哺乳類の展示場があります。なんと、小樽海岸そのものを展示用プールに利用したという天然の巨大水槽です。
なお、屋外展示の宿命として、悪天候時は閉鎖される可能性があります

海岸そのものを展示場に利用。向こうには大海原が見えます。

このエリアでは、アシカやアザラシへの餌やりができます。ただし、屋外ですので、餌用の魚をカモメたちが虎視眈々と狙っています。ご注意のうえで、海獣たちとの交流を楽しみましょう。

餌を欲しがるトド。その鳴き声はかなり大きく、海獣公園内に響き渡ります。
餌欲しさに大きなオスのトドが上がってきました。もともと寒い地方の生き物ですので、北海道の屋外の寒さにもへっちゃらです。
海獣公園の建屋には屋内プールもあります。アザラシはこちらに興味ありげなご様子。

海獣たちの中で最も迫力があるのは、間違いなくセイウチです。その大きさは、アザラシの数倍はあります。カバほどもある巨体を翻して水中を躍動する姿には、多くの来館者が驚いていました。

巨大なオスのセイウチ。長大な2本の牙が特徴です。成獣のオスは体重2 tにもなり、ホッキョクグマでさえ容易に手出しができません。

そして、ペンギンやイルカといった往年のアイドルたちも本館で展示されています。表情豊かな彼らの一挙手一投足を間近で見られるのが嬉しいですね。

ジェンツーペンギン。南極周辺に生息するペンギンですので、当然ながら北海道の寒さも何のそのです。
イルカスタジアムの下層階からは、プールの様子が見えます。ショーに備えてウォーミングアップ中でしょうか。

おたる水族館 総合レビュー

所在地:北海道小樽市祝津3-303

強み:国内唯一のネズミイルカの展示・その飼育と保護に関する抜群の知見、海岸そのものを海獣展示に利用するスケールの大きな工夫、各水槽に設置されたわかりやすく濃密な解説キャプション

アクセス面:JR小樽駅から水族館行きのバスが1時間に1~2本出ています。札幌からのアクセスしやすいのが旅行者には嬉しいところ。車を運転して来られる場合は、小樽の海をじっくりと眺められます。なお、冬季の閉館時刻は16時ですので、時間に余裕をもって来館しましょう。

迫力満点の大型海洋哺乳類たちの屋外生体展示の他、個性が強い魚たちのオンパレード、さらには希少種ネズミイルカと出会えるという夢がついてくるので、かなりの強みを持った水族館であると思います。展示水槽に設置されているキャプションには、生き物好きなら見入ってしまうほどおもしろい知識がたくさん詰め込まれています。餌やりやショーで海洋哺乳類を間近に感じることができ、娯楽性も抜群です。
なお、本筋からはやや脱線しますが、個人店にすごく嬉しいと思った点を一つ。館内レストランのカウンター席にスマートフォン充電用のコンセントがあります! 水族館では写真撮影の機会が多いため、こういった充電サービスは結構ありがたいです。

館内レストランのメニュー「イルカレー」。イルカを模したライスが特徴です。とてもおいしいですが、大人の方はもう1品サイドメニューを注文した方が量的にちょうどいいと思います(笑)。

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