【ショートショート】大増殖天使のキス
その日、神は悩んでいた。
天使が足りない…
それは天使のキスが不足するということだ。
天使が空から地上へキスを投げることで人間は繁殖する。
だが地上は今戦争の真っ最中で次々に人間が死んでいた。
人間が減ると、天使も減る。
さて、どうしたものか…
神が考えあぐねていると、地上で大きなエネルギーが炸裂した。
「!」
これはチャンスだった。
神はそのエネルギーを利用して天使を大量に生み出した。
自然に増えるのを待つよりも、はるかに多くの天使を創ることができた。
数日後、再び発生したエネルギーの炸裂で、さらに天使は増殖した。
天使たちがキスを飛ばせるように成長するまで少々時間がかかるが、数年後には大量のキスをこの地域に放てることだろう。
だが油断はできない。
ちょっと目を離すと人間たちはすぐ殺し合いをして数を減らす。
大増殖した天使のキスも、人間の愚かさの前には無に等しいのだ…
時に、1945年8月のことだった。
たらはかにさんの「毎週ショートショート note」に初参加です。
よろしくお願いします。
😅
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