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【ショートショート】ヘルプ商店街 神曲編

 商店街は危機に瀕していた。
 ただの商店街ではない。
 全てのものが無料で手に入り、対価として魂のほんの一部をもらうという店ばかりの商店街なのだ。
 通りをゆく人の数は増えているようなのに、どの店も売り上げは減る一方。
「困ったもんだ…」
 商店街会長は今日も首をひねる。
「会長、また新しい商売を始めますか?」
 これまでもヘルプとして道ゆく客の欲しいものを聞き、それまでなかった店を増やしてきた。だが、レンタルビデオ屋も携帯ショップもタピオカ屋もあっと言う間に廃れていった。
「うーむ、どうも世の中が不景気なせいか人間のモノに対する興味が減退してるみたいなんだな…」
 その時、店主の一人が男を引っ張って飛び込んできた。
「会長!この人が商店街の弱点を教えてくれるそうです!」
「ほんと?」
 男は自信満々で言った。
「はい。なんでもあるこの商店街に無く、社会に必要な店に気付きました。それは…」
「それは?」
「葬儀屋です!」
「!…無いに決まってるだろ!」
 会長…赤鬼は金棒で男を外へ叩き出した。

 数日後、〈地獄の一丁目商店街〉は完全に消滅した。



またちょっと長くなりました…
410文字、むずかしー…
😭

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