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佐塚について②

【佐塚について_02】20210410
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僕の事を知ってもらおうと『についてシリーズ(佐塚真啓)』と称して毎日投稿しているのですが、それならば「私は」と自ら語る視点と、「彼は」という他者から語ってもらう視点も必要だ!と思い立ち、僕の事をよく知ってくれているであろう友人に、唐突に『佐塚について』僕を知らない人に僕を紹介する何か書いてくれないかとお願いしてみました。

長谷川_アートボード 1

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『佐塚について②』
証言:ハセガワ(長谷川翔)
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さつかは友人である。武蔵美での同級、後楽荘での同居人。後楽荘とは東京都小平市の小川商店街の隅にあった今は亡きボロアパートで、1階の4部屋ぶち抜きの変な物件を共同で借りて住み、3番ギャラリーと称して展示なんかをやった。早15年前。彼の当時よく言っていた事が、今も奥多摩美術館の中に流れ込んでさらに大きく展開されているのを見るにつけ、とても嬉しく思う。

彼と共同で何かに取り組む時、彼は大抵「いいじゃん、それやろう」と賛同してくれるので、すごくやりやすい。同時に、さつかは最強の助っ人である。武蔵美時代「ギリギリで(作品の完成が)終わらない」が僕の代名詞だった頃から、見るに見かねて手伝ってくれる心の広い持ち主で、ドイツに来て1年目だっただろうか、ちょうど自分の展示の設営中にさつかが旅行でやってきて、多分1日か2日の滞在中、ほとんど設営の手伝いをして去っていった。さつかのすごいところは一緒に作業してる人の頭と同調して、段取りを把握して自律的に動くので、自分の分身が現れたのではと錯覚するくらいスムーズに事が進む。そして惜しみない程に他人のために動く。

さつかはすごく話す。めちゃくちゃ話せる。たまに話しすぎて反省し一人カラオケにもいく。でも彼は噺家なんじゃなくて、たまにそうっぽいけど、とことん言葉を尽くし、向き合うからどんな相手でもなじむんだと思う。衝撃だったのが、一緒にインドに行った時、来てまだ数日という日、バラナシの祭りの最中、現地の人に代わって露天の店番をしていたという事実。詳しい経緯は忘れたが、明らかに現地人としての人選。これも彼の性質のなせる技なのかと感心してしまった。

さつかのファイル。知り合って以来いつも彼の家に行くと、きまってA4の事務ファイルを見せてくれる、一種の習慣である。そのファイルには彼が最近描きためたドローイング、アニメーションの原画、漫画、言葉、実測図などなどがどっしり入っていて、それをパラパラめくって観る。話していない時のさつか、虎視眈々と着実に「かくし玉」をつくっている静かなさつかの時間がその中にある。もちろん、さつかが展示で割とスケールのあるものをつくるのを観るのも面白いが、彼のつくったものを観た経験の中で、おそらく一番多いのはこのファイルの形式で、である。このファイルは面白い。最近は1年に一回くらいしか会える機会がないが、毎回これを観るのを楽しみにしている。だからさつかが本という形にこだわるのも僕としてはとても納得で、ぜひその本になったものも観てみたい。05042021

(長谷川翔)

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