#8 ゼミナールで大学の森へ
みなさん、こんにちは!
秋の風物詩
みなさんは今年の紅葉は楽しめましたか?
「いえいえ、虫が多くて紅葉どころではありませんでした。」という方も多いのではないでしょうか。
キャンパス内の樹々は今年もきれいに色づき、確かに美しかったのですが…。
それにしても、この秋の虫の大量発生はとてもインパクトが大きかったように感じます。以前から雪虫として知られる「トドノネオオワタムシ」、そして今年大量発生した「ケヤキフシアブラムシ」に、こんなにも注目が集まったことがかつてあったでしょうか。
トドノネオオワタムシは、この時期トドマツからヤチダモ等のモクセイ科の木へ、ケヤキフシアブラムシはササからケヤキへ移動します。キャンパス内では大学の森にヤチダモがあります。見に行ってみると、ヤチダモの樹皮に無数のトドノネオオワタムシを確認できました。敢えて写真は載せませんので、気になる方は見に行ってみてください。
来年以降の動向も気になりますね。
岡積教授の地理ゼミで大学の森へ
さて、この連載でもお馴染みの大学の森は、札大の授業でも利用されています。先月、岡積義雄教授のゼミナールⅡ「地理ゼミ」で行われているフィールドワークを大学の森で行うと伺い、同行してきました。
このゼミを履修しているのは、歴史文化専攻2年生15名。ゼミでは、学生自らがテーマを設定し、地理的な視点で地域の環境や社会の問題をどのように解決していくかを考察していきます。また、大学周辺を中心としたフィールドワークを何度も行い、地理的な見方・考え方を身に付け、各自のテーマの調査・分析に活かします。これまでのフィールドワークでは、大学周辺の市街地や西岡公園(西岡水源池)の現地調査を行ってきたとのことです。
この日は、今から100年以上前の大正時代の地形図と最新の地形図が各自の手元に用意され、現在の地形や植生と見比べながら、大学の森とその周辺を歩きました。
学生たちは、岡積教授とともに古い地形図を確認し、大学の森が当時も谷地形になっていたことや沢があった可能性を推察しました。また、第2球技場では、新旧の等高線の形を見比べ、いま目の前に見えている周辺の地形がかつてはどのような地形であったか、どのように改変されたのかを確認し、学生たちは熱心にメモを書き留めていました。
私からは、図書「西岡百年史」から開拓時代の西岡一帯の植生について書かれた部分を紹介し、現在の植生との共通点・相違点を説明したり、大学の森でみられる野鳥や動物について紹介しました。
札大のある西岡は、現在、宅地化が進み、交通や教育、商業施設も充実しています。岡積教授は、かつての開拓が始まった頃の名残が感じられるこの大学の森は、この地域が先人たちの苦労の積み重ねで発展してきたことを札大生が身近に学ぶことのできる貴重な場所です、と説明されていました。
大学の森に初めて来たという学生がほとんどでしたが、足元に落ちていたホオノキの実やキノコに興味を持つ学生もいれば、「斜面の植生の雰囲気が近くの公園と似ている」といった鋭い発言もあり、それぞれの視点で大学の森を捉えていました。
秋学期のゼミは始まったばかりです。今後、学生たちはゼミで学びを深めながら、札幌近郊や各自の地元などに実在する社会の姿を地理的な切口で調査・分析し、まとめていくとのこと。すでに自分の足で歩き、下調べを始めているという学生もいました。論文作成には苦労が伴いますが、得られる学びは大きいものです。秋学期の終わりに完成する論文集が今から楽しみです。
おわりに
11月に入ると、大学の森の歩道もすっかり落ち葉で埋め尽くされました。
雪虫が飛び始めてから早2週間以上、初雪も降りました。キャンパス内の植木も雪囲いをしっかり終えて、冬への準備は万全です。
みなさんの冬支度はいかがですか?
※「大学の森」での散策時、これからの季節は特に次の点に注意しましょう。
頭上からの落枝に気を付けてください。風の強い日は特に注意しましょう。
安全と植生保護のため、歩道以外の場所にむやみに立ち入らないようにしましょう。
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「うろうろてくてく、サツダイしぜん散歩」は、札幌大学のWEB版広報誌「リンデン通信」のマガジンの一つで、2カ月に一回の頻度で更新します。
キャンパス内で撮影した季節の写真とともに、私たちの周りにある身近な自然をご紹介しています。
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