見出し画像

動物園で映える写真を撮影する5つのコツ

こんにちは、フォトグラファーのSATです。

この番組では皆様の写真ライフが楽しくなるような話題を取り上げています。

今回は動物園で映える写真を撮影するコツについてお話したいと思います。

動物園の動物は人工の構造物の中にいるのでどうしても背景が雑然として美しくない写真になりがちだし、時間帯によってはやる気なくゴロ寝していて被写体として相応しくなかったりします。そして、屋内の動物舎は暗いためどうしても画質が悪くなりがちです。

そこら辺の対策をどうするかっていうお話です。

では、さっそく。

結論

はじめに結論をお話しておくと、

動物園で映える写真を撮影するには次の5つのコツがあります。

1.良い構図で撮影できる時間帯と場所を特定しておく

2.背景は極力シンプルにする

3.表情をアップで撮影する

4.暗い動物舎ではスローシャッターか明るいレンズを使う

5.アクリルガラス越しの撮影には忍者レフを使う

補足)望遠レンズによる檻消しは過度に期待してはいけない

ということで、詳しくお話していきましょう。

良い構図で撮影できる時間帯と場所を特定しておく

動物園では1日の動物の行動パターンが時間帯によって違っていたりします。もちろん季節性はありますが、ある程度パターン化されているので予測が可能です。

例えば、僕が通っていた動物園のライオンを外で撮ろうとすると開園後の朝1番の時間帯が適しています。ちょうど撮影しやすい構図になる場所に出てくるんですよね。光線も朝日に対して順光で撮影ができます。でも、その時間帯を外すと、屋内の暗い動物舎の引っ込んで撮影には向かない場所で眠り込んだりすることもしばしば...といった感じです。ですので、僕は動物園が開園すると同時にライオンの動物舎に真っしぐらに向かい、撮影を済ませます。

画像1

あとは、普段はやる気なくごろ寝ばかりしている動物も餌やりの時間帯は活発に動くのでシャッターチャンスに遭遇しやすいです。

動物舎の掃除の時間も概ねパターン化している場合が多いので、年間パスを買ってしつこく通っていると、大体どの時間帯にどの動物舎に向かえば無駄がなく撮影できるか分かってきますよ。

それから、モモンガなどの夜行性動物は閉園間際が狙い目だったりしますので、なかなか撮影は難しいと思います。しかし、動物園によっては年に何日間かは夜間に入園できる「夜の動物園イベント」を行っているところもあるので、それを狙うのも一つの手です。夜間撮影にはSONYのα7Sシリーズのような超高感度カメラが活躍しそうですね。

背景は極力シンプルにする

つぎに撮影のコツというか構図のコツですが、背景は極力シンプルにすると絵として見た時に格好がつきます。

もちろん、人工建造物である動物舎で背景シンプル化は難しいのが実情ですが、せめてトリミングしたときに美しくなる背景で撮影すると見栄えが良くなりますよ。

たとえば、作例をnoteに貼っておきますが、前回もお見せしたニホンザルとチンパンジーもトリミング前提で撮影しています。

どちらもトリミングなしの状態ではあまりパッとしない構図ですが、トリミングすることでスッキリした構図になりました。なお、トリミング前提の撮影なら高画素センサーを使うと難易度が下がりますよ。

ちなみにトリミング前の画像は以下のとおりです。

画像2

画像3

トリミングなしでスッキリした構図で撮りたい場合には、動物舎によって向き不向きがあります。例えば、僕の街の動物園ではライオンは比較的トリミングなしでも構図が成立する傾向があります。

逆にオランウータンは良い構図で撮影するのは難しく感じましたね。どうしても檻が写り込みやすいし、背景もボカしきれない感じです。

表情をアップで撮影する

つぎに余計な要素を写真から抜く方法としては、動物の表情をアップ気味に撮るが有効です。

動物園では人工物の中に動物がいるので、どうしても背景が雑然としがちです。そのまま、何も考えずに動物全体が入るように撮ると記録写真としてはいいのですが、何ともつまらない写真になってしまいます。

画像4

肉眼で見たとおりに写ってしまうと意外性がなく、つまらないので、どこかで写真に非現実感を出してやると魅力が増しますよ。

たとえば、動物の顔をアップ気味に撮れば、必然的に写真の中での動物の面積が増えて構図が混乱することも無くなりますし、普段は見ることのない動物の表情を大きく写した点で現実離れした演出を写真に与えることができます。

あるいは顔だけではなく、被写体を特徴づける体のパーツの一部をクローズアップして撮影するのも有りだと思いますよ。

この方法もトリミング前提の撮影の場合には、高画素センサーのカメラを使うと難易度はかなり下がります。

暗い動物舎ではスローシャッターか明るいレンズを使う

屋内にある動物舎は写真撮影をするには暗すぎるような場合が多いです。暗い場所で何も考えずに撮影すると、ISO感度が上がり画質がかなり悪くなります。

ではどうすれば良いのか?

答えは2つあって、まず一つ目は「スローシャッターでISO感度をできるだけ下げる」です。スローシャッターというのは遅いシャッタースピードで撮影することです。実際どのくらいまで遅くできるのか?ですが、レンズ焦点距離にもよりますが、僕の経験では手ブレ補正5段のカメラと標準ズームレンズの組み合わせで「1/80秒」なら手ブレせずにそこそこの撮れ高・画質で撮影できました。下の作例が、マイクロフォーサーズ規格のカメラですが、いい感じで撮影できています。

画像5

そして、暗い動物舎で撮影するもう一つの方法は「明るいレンズを使う」です。明るいレンズを使えばf値を下げて光をより多く取り込めますので、ISOも低く抑えられて高画質に撮影が可能です。

下の作例では、F2.0の50mmのマニュアルフォーカスの単焦点レンズを使っていますが、そこそこの画質で撮影できています。

F1.4クラスのレンズであれば、さらに条件は良くなると思いますよ。

とは言いつつも、ふつうのズームレンズでも設定を追い込めば、それなりの画質で撮影が可能です。

下の作例では、標準ズームレンズの望遠端105mm、絞りはF/4、シャッタースピードは1/160秒で、ISO640の高画質で撮影できています。すばらしい。

アクリルガラス越しの撮影には忍者レフを使う

そして、アクリルガラスガラス越し、とくに屋内動物舎では、そのまま撮影するとガラスに写り込んだ様々な反射が写真にも写り込みます。ガラス越しの夜景撮影と同じです。

では、対策はというと、そこの動物園で許されているのなら「忍者レフ」を使うと反射をある程度抑えることが可能です。忍者レフは黒い円盤状の撮影グッズでAmazonで購入できるので興味のある人はチェックしてみて下さい。

が、いくら動物園で許可されているからといっても、来園者が多い時には他のお客さんの迷惑になるので人にいない時に使うなどの配慮が必要です。

そんな感じで忍者レフを使う場合には周りの人に気を遣わなくてはいけません。「そんな面倒なことは嫌だ!」という人には裏技があります。

裏技というのはカメラのレンズフードをガラスに密着させると反射をかなり抑えることができますよ。僕自信も動物園で忍者レフを使う度胸はないので、レンズフードをガラスに密着させる作戦で撮影をしています。

当然、ガラス面に足して垂直にしかカメラを向けられないので、構図は限定されてしまいますが、それなりに撮影可能でした。反射が気になる方は一回は試してみる価値はあると思いますよ。

補足)望遠レンズによる檻消しは過度に期待してはいけない

さいごに補足ですが、望遠レンズの檻消し効果についても触れておきます。動物園撮影のテクニックとして、被写体の動物がある程度遠くにいる場合に望遠レンズかつ絞り開放でギリギリまで檻に接近して撮影すると、檻が激しい前ボケを起こして消えて見えるというのが、動物園の檻消し効果です。

まあ、たしかに動物園撮影では動物舎の檻が写真を安っぽく見せてしまうこともあるので、檻を見えなくすれば改善されるわけです。しかし、所詮は前ボケで消えているように見えているだけですので、画質的には檻がないところで撮影した写真の方が良いことを理解しておいた方が良いと思います。

状況によっては、中途半端にしか檻が消えずに残る場合もあるので、それなら檻を消さずに撮影した方がいい雰囲気になることもありますからね。

まとめ

最後にまとめると、

動物園で映える写真を撮影するには次の5つのコツがあります。

1.良い構図で撮影できる時間帯と場所を特定しておく

2.背景は極力シンプルにする

3.表情をアップで撮影する

4.暗い動物舎ではスローシャッターか明るいレンズを使う

5.アクリルガラス越しの撮影には忍者レフを使う

補足として望遠レンズによる檻消しは過度に期待してはいけない

以上、参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?