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はじめての入院

ほんとのことを言えば、入院は初めてではない。しかし出産や検査などをのぞけば、ちゃんとした病名のついたものでははじめてという意味だ。

◾️まさかの入院⁉️

9月4日。数日前から風邪気味ではあったが、なんとか騙し騙しやってきた。しかし、それが我慢できなくなったのだ。体が重くてえらい。足が重い。喉が痛い。声が出ない。微熱あり。今から思うと呼吸も上手くできなくなってたんだと思う。最悪は咳だった。痰が絡み、咳をすると頭が痛い。

仕事は九割がた終わっていた。あと一本あるにはあるが、薬もらって飲めばなんとかなるだろう。とにかく病院🏥‼️

そう思いいきつけの病院に行った。最もつい最近、人の評判を聞いて、行きつけにした所だ。

今日は2回目だし、コロナじゃないことは前回証明されているので私はそれほど深刻に考えていなかった。待合で待ってると先生が見えて検査が始まった。レントゲン🩻血液検査、尿検査。お決まりの検査を終え、咳が出るから車で待っててくれと言われて待っていると、先生がなんかアタフタしてやってきて、すぐにこの近くの総合診療所か市民病院に行きなさいと言われる。診療所の方はまもなく統合されて部分的に地域に残る。一方市民病院の方は昔からの公立病院で、全国でも五指にはいる公立の黒字病院だ。どっちがいいかと言えば一目瞭然だろう。

ただ私は自分がそれほど重篤な状態とは思っていなかった。薬もらって飲めば治ると思っていた。ところが先生の顔を見るとそれどころではなさそうなのだ。

時間は夜の7時を過ぎていた。通常の窓口はとおにしまっていて救急受付になる。診てもらってそのまま入院になるかもしれないといわれた😱

私はそんなふうになるとは思ってないので家族の付き添いもない。もうこうなったら覚悟を決めて行くしかない。主人に電話すると☎️酒を飲んだから運転できないと言われ、まだ仕事から帰らない長男に病院に行ってくれるよう頼んだという。

こうなってはもう仕方がない。私は紹介状をいただいて市民病院に向かった。

※医師の紹介状は紹介された先生に手渡すまで患者は決して封を切っては行けない。

◾️深夜の入院

病院に着いたのは確か8時ごろだったと思う。救急受付で待っていると息子が来てくれた。そのうち中に入るように言われ、検査が始まった。

ナンタラの開きにされたような感じでこちらは寝てるしかない。人が入れ替わり立ち替わりやってきて注射針をブスブス刺していく。血液検査なのだが、上手く血管に入らないのだ。私は昔から血管が細くて出にくい看護師泣かせの血管の持ち主だった。点滴も同様である。母もそうだったので遺伝かもしれない。母が入院したのは70歳でのくも膜下出血。不妊治療などをのぞけば、それが母にとって最初で最期の入院だった。

私の体はたちまち青痰と注射針を刺した後の絆創膏だらけになった。そしてようやく医師の診察が終わり、肺炎という病名がついて入院となった。ひたすら点滴して安静にして急性期が過ぎるのを待ち、その後は投薬と検査で経過観察。これ以外にどうしようもないのである。

病棟には車椅子で行った。大部屋がなくて個室である。息子が戻ってきた。この間病院と自宅の往復(片道約20キロ)、書類へのサインなどよくやってくれて有り難かった。

この時の息子は本当によくやってくれた。感謝しても仕切れない。いつもは文句ばっかり、母には悪口雑言。悲しくなるぐらいバカにしてくれるが、さすがにこの時はそんな言葉は何もなかった。おまけに私が乗ってきた車の移動までしてくれて、翌朝は出勤前に顔を出してくれた。

入院で本当に大変だったのは同室の患者さん
4人部屋を希望したが空いてないと言われ、個室に入った。一泊6000円もの部屋である。

つい一月ほど前、主人が前立腺がんで手術、入院した。こちらは予定され何ヶ月も前から準備してきた末の入院だった。しかし、私のは全くのイレギュラーだった。これ以上、よけいな出費は経済的にも避けたい。

だが看護師はなぜか個室を薦めようとする。経済的に余裕があれば私もそうしたいが、そうではないので大部屋を希望している。

大部屋というのはどこもそうだと思うが、一つの部屋をカーテンで四つの個室に仕切っている。完全個室ではないので、隣の一挙手一投足がカーテン越しにまる聞こえなのだ。はっきり言ってプライバシーは無いに等しい。でも病気を治すことが第一なのだからそんなことも言っていられない。こちらはある程度覚悟してるから大部屋でいいと言うのだが、どうもその同室になる方がなかなか大変らしいのと、私がもっと老けていてやや認知も入ってるような病人と勘違いされたらしく、かなり認知の進んだ人と同じ部屋にされてしまったようで、私の様子を見てコリャマズイと思ったようなのである。

結局のところ一晩は個室に入り、翌日から大部屋になった。この時から私の受難は始まった。

◾️入院とは耐えることなり⁉️

快適な入院生活を送れるか否かは、大部屋の場合はどんな人と同室になるかによる。イビキとか歯軋りとかオナラとかはお互い様の範囲内。最も困るのは認知の進んだ方と一緒になることだ。認知が進んだ方の場合、殆どは幻覚の中にいてずーっと譫言のように話し続けている。自分の世界にいるので他人に迷惑をかけているという自覚はない。そして記憶の混在。たくさんの人がいるという幻聴を聴くこともある。とにかくもう異世界の住人だ。彼らと上手く付き合う方法を私は知らない。

特に問題は夜だ。病院の夜は長くて辛い。9時に消灯なのでさっさと寝てしまえばいいが、寝つきの悪い私にはできない。おまけに昼間も安静にしてる以外することがないので、運動不足で眠れない。

見てると寂しくて構ってほしいのだろうなという方もあれば、ひたすらマイペースの方もいる。「はよ〜はよ〜(早く早く)」と仰るが目的語がない。言葉も不明瞭で何をおっしゃってるのかわからない。聞きたくなくても自然に耳に入ってくるので私たちもウンザリだが、看護師さんは振り回されてもっと大変だ。みんなが精神的に疲れてしまう。

◾️医療と介護の狭間
こうした患者さんというのはこれからもっと増えていくのだろう。病気の部分はしっかりと病院で治療する必要はあるが、問題行動の部分はそれ以外による部分が大きいと思うので、線引きも必要だと思う。

この辺りの事情って案外理解されていない部分が大きいのではないか。私の友人は入院中、夜中に隣の患者さんがヌッと入ってこられて「ここは私のベッド🛏️」と言われてゾッとしたそうだ。

ただでさえストレスフルな病院生活🏥快適なとは言わないが、互いに無用なストレスを感じることがないよう、改善できるところはしてもらいたい。

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