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読書日記 憧れる人

『KIMONO EVOLUTION』
Shila Cliffe   芸術新聞社

ふつうの着物雑誌は「お着物」すぎて私には合わない。固いしきれいすぎる。撮影のためのぴっちりした、隙のない着付けは苦しそう。
かといってあまりにも現代的に着崩してコスプレみたいになるのも嫌だ。それが好きな人はいいと思うけど、私には合わない。
そう思っていたときに、シーラ・クリフさんの本と出会った。
伝統を尊重しつつも大胆に組み合わせ、自分らしさも忘れない。しわやふくらみを恐れない着こなしは、着物が着る物であると思い出させる。決められた枠の中にあり、自由で楽しい発想はジャズのよう。上品なだけでなく、ゴージャスでスタイリッシュ。こんなふうにアンティーク着物を着たいな、と憧れる。
とくにこの本は大判なので迫力もアップ。じっくりとすみずみまで眺め、ひたることができる。
シーラさんは1961年イギリス生まれの着物研究家。38年前に着物に出会い、研究してきた。着付け講師や着付け師の資格もある。
タンスに眠る古い着物も、着こなし次第で生まれ変わることを、シーラさんは教えてくれる。それは物を大切にするイギリスの習慣からも自然なことなのだろう。私たちも着物を日常的に着ていたときには持っていた感覚。
古い着物を洋服にリメイクするのも素敵かもしれない。でも私は着物は着物として着たいし、愛でたい。今ある物を大切にしたい。
と、思いながらも、やっぱりシーラさんみたいな素敵な着物も欲しいなぁ、なんてうっとりしてしまう。

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