「元気=欲望」説
私にも元気の出ないときがある。
そんなときはどうするか。
図書館に行く。元気がない時は「図書館で借りてまで読みたい本ないよ」という気分である。それでもとにかく図書館に足を運ぶのだ。
図書館でまず予約本の棚を見る。三鷹市の図書館は6冊まで予約できるが、自分が予約していなくても予約本コーナーに行くのである。
すると三鷹の市民たちが読みたいと思って取り寄せた本たちが3つの本棚にずらりと並んでいる。小説、ドキュメンタリー、写真集、料理書、ビジネス書・・・・書店と違って見境なく並んでいる。その本たちの共通点はだれかに求められたこと。
この棚のすべてがだれかに求められてここにやってきた本だと思うと、なぜだか急に読みたくなる。
そしてどれだけ読みたくなってもこの本たちはもう行く先が決まっていて借りることはできない。そう思うとなおさら読みたくなる。並んでいるすべての本が光り輝くように魅力的に見えてくる。言い方はアレだが、素敵だと思った男性が結婚指輪をしているとなお魅力的に見えるようなものだ。
あれもいい、これもいい。タイトルをおぼえきれない。こっそり写真を撮ってあとで調べて読もうと心に決める。
予約本の棚を見たら、次に最近返却された本が集められた棚に行く。
こちらは予約本とは逆についさっきまでだれかが読んでいた本だ。それはそれで魅力がある。しかもすでに返却済みだから借りることができる。どれもこれも面白そうに思えて手に取る。
図書館に来る前は「えー。だるいしー。べつに読みたい本ないけどー」とふてくされていたいた人物とは別人になってしまっている。そして選びに選んで15冊、借りられる上限まで借りてしまう。重い。「電子書籍を愛用していて今どき紙の本を読んでいるようなヤツは馬鹿だと言う輩(やから)め! 重さこそ幸せなのだ、わかったか!」・・・とだれからもののしられていないのに心で口答えをしながら帰る道ではもうすっかり元気になっている。
私は本が好きだからこの方法で元気になる。それぞれお好きなもので試してみてはいかがだろうか。むくむくと欲望がわきあがるときには元気や意欲も同時にわいてくる気がする。
こんな風に自分のごきげんの取り方がわかるようになったのも年をとってよかったと思うことの一つである。
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