四十三冊目 「檸檬 梶井基次郎」

予備校生だった時の話。当時は金がなかったから、授業後の楽しみといえば書店を回ることくらいだった。予備校から出発して、まずはここ。次はこちら。そして時間がある時には、ぐるりとあそこまで足を伸ばす。のように、自分の中で「書店めぐり」のルートを作って、律儀に巡回したものだった。

あの頃は、インターネットもないしスマホもないから、情報収集といえばテレビを見るか本を読むくらいしかなかった。なので、そんな風にして書店を回る時間は貴重で重要で、充実した時間だったのだ。

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