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英単語検定1級に挑んだ7人の男たち

会場にいる受験者は7人。なぜか全員男。

試験官もおじさん1人。

密室に閉じ込められた8人の男たちにより英単語検定はおこなわれた。

手渡された問題冊子。

紙が薄くて問題が透けて見える。が、見ないようにする。

時間ギリギリまで単語帳を見ていても何も言われない。

試験開始時間が電波時計と2分くらいずれていた気がするが、気にしない。

問題を解き終えたら、途中退出は自由。どんどん受験者が退出していき、試験終了時点では僕を含めて2人しかいなかった。

試験後、僕は1年ぶりに父親と会い、餃子の王将でレバニラ炒めを食べた。試験日の6月18日は父の日だった。

試験対策

いくつかのサイトで指摘されている通り、アルクの『究極の英単語 SVL Vol.4 超上級の3000語』内の単語から問題は出題される。過去問4回+本番のすべての問題で、正解の選択肢は単語帳内の単語だった。

レベルは英検1級より少し難しいくらい(個人の感想)

ただし、単語帳に出ていない意味が出題されることがある。たとえばbluffは「崖」の意味が本番で問われていた。

この単語帳だけでも合格できたのかもしれないが、僕は公式の過去問題集も解いておいた。過去問4回分が収録されているが、答えは番号だけ。解説は何もない。これで1500円は高い。ぼったくりだ。

だけど問題形式に慣れておいた方が安心して受験できる。特に英英辞典の説明から単語を選ぶ問題は初見だと苦労する。

ちなみに説明の文はロングマン現代英英辞典を使っているようだ。無料で使える辞書だから、勉強時には参考にしてください。


最後に そもそも英単語検定って受ける意味あるの?


合格発表から数日後、英単語検定の合格証が届いた。

丈夫そうな紙を使っていた。英検1級よりも立派な合格証だ。

だけど英単語検定そのものには、それほどの価値はない。

冒頭で書いたように、僕の会場では1級の受験者は7人だった。マイナーな試験だ。教育関係者でも知らない人が多い。職場でも、転職活動でも、ほとんど評価されないだろう。

でも、僕は受けて良かったと思う。

試験後、岡倉天心のThe Book of Teaを読んだら、単検1級の単語がかなり使われていることに気づいた。洋書を読むときには英単語検定の勉強で得た知識は役立ちそうだ。

①英検1級レベルを超えた語彙力を身に付けたい
②だけど、試験がないと勉強する気にならない。

上の2つの条件にあてはまる人なら、英単語検定1級は受ける価値がある。

あの日、会場に集まった7人の男たちのように。

英語を教えながら小説を書いています/第二回かめさま文学賞受賞/第5回私立古賀裕人文学賞🐸賞/第3回フルオブブックス文学賞エッセイ部門佳作