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消息不明の韓国人女性

黒くて細くて

 
ヒロシさんはMi-jaの事を「えらい」といっていた。
僕は韓国人女性がよく整形をするはなしをその時すでにきいていたかもしれない。美しい人だったから、そうなのかなとはおもった。歯はとてもきれいだった。
 
ヒロシさんが偉いといったのはそういうことだ。なぜならステージに立つ人として、きれいにしなくてはいけない。この人は何を考えているんだろうと思ったが。歯を矯正したり、整形をするということは「人に見せる礼儀として、良いこと」と思っているようだ。
 
自分を否定する整形に関してはぼくはなにも賛成しないが、歯の矯正はよいとはおもう。
 
ひろしさんがそんな話をしたせいで、彼女が整形をしたのではないかと疑ってしまった。
 
Mi-jaとの最後の連絡はずっとあとだ
アメリカの西海岸に移住してから誰かと結婚をしたらしい。
 
「いろいろあるのよ...」
 
と言い残した。
 
彼女の最後のEmailを抜粋させてもらう。
 
School started from yesterday and somehow....I had to
wrk(Workのミススペル) on so many things at once that now I feel quite
sick.  But I will be fine after good night sleep
tonight.
I dicided not to practice or any other work tonight
but reading booking(bookの間違いかと) and get some rest.  I wasn't
getting enough rest since last Sunday and I feel very
bad.
Ha....send me even more pictures later with more
details.  I miss you!

 
彼女にとって僕はいったいどういった存在だったのだろうか?
韓国人の友達はイギリス留学の間に何人かいた。
 


その中でも仲の良い人は数人いたけれど、強いて言えば「一人」
 
ただMi-jaとはなんだか不思議な関係を持っていた気がする。
 
姉のような、尊重する女性のような、それでいて女性としてのしなやかな、ぽきっとおれそうな繊細さ...
 
韓国人ではあったけど、韓国とは何の関係もないかのように感じた。
 
歴史問題やらKポップやらいろいろ僕らの頭の中に入り込むが、そういった社会的、文化的、歴史的背景がゼロな感じがする。
 
韓国にはときどきそういった人をみかける。とくに女性。日本よりも社会的抑圧が強いだろう韓国。でもそのなかですごく自由にふんわりと生きている。ある意味でとても力強い女性。
 
イギリス留学で会った韓国人女性に彼女が名乗った本名(この日記ではほとんどの人が本名じゃないです)を伝えたら。
 
「なにその変な名前?自分でそんな変な名前つけたんじゃない?」
と笑いながら言われて、すこし頭に来たことがあった。
 
韓国語では「お姫様」という意味らしい。
 
けれどそんなエピソードもあったために、ますます彼女が国に属さないような気がした。
 
僕の勘ではアメリカのVisaを得るために結婚したのではないかと思う。
 
いま彼女が幸せでいることを祈る。
 
またいつか会えたらと思う。

artwork by Satoshi Dáte

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