暗闇殺人事件
今まで、鬱屈とした自分が嫌いで嫌いで仕方なくてどうにか押し殺して、
なんならそのまま窒息死させてやろうと必死こいていた。
でも何かが違う。どこかが歪んでいる。
どうしても漏れ出てしまうこの暗闇を人に見られまいとしながら、
時には放出し威嚇や愛情を確認するために利用していた。
僕の中の暗闇は半殺しにされても命からがら逃げきり、僕の口や顔や全身からひょっこりと出てきてシャバの空気を吸っていった。
その度にまた僕は殺しにかかり、そして暗闇は逃げ切る。
いたちごっこ。
とにかく自分は自信が無い。
どんなに褒めてもらっても、結局どこかで「なんだかんだ下に見てるだろ」とスネ散らかしてしまう。
でもその自信の無さにさらに攻撃性を帯び、周り(特に親しい人)への疑心が出てしまう。
厄介だ。自分で書いてて吐き気がする。
近ごろ何かから逃げるように音楽をやっている気がしている。
それが良いとか悪いとかはさておき、僕はそれがあんまり納得できてないという事実がたまに目の前にチラついて、
その度にこの野郎!とハエみたいに叩き潰していた。
でもそのハエは僕自身が感じている不安そのものだった。
ほんとに今さっき気づいた。
ずっと情けなくて頼りなくてダサくて弱くてすぐうずくまって泣いてしまう自分が嫌いで、
そんな自分に刃を向けることで「俺は昔とは違う面白い人間になれたのだ!」と思っていたけど、
やり方が違った気がする。
殺すのではなく脅すのではなく、
一回ちゃんと抱きしめて、大丈夫だよって言ってあげて、
僕が嫌いな僕が泣き止んでから、部屋から出してあげるべきだった。
何度こんな風に後悔と恥ずかしさを味わわなければいけないんだろう、と思いつつ、
でも前よりなんとかやったいるじゃないか、とも思う。
そう思えてるなら前よりは優しくできているのかなあ。
僕にそっくりの友人は、すぐに死にたがる。
最近連絡を取ると、「自殺のことばかり考えるよ」と軽やかに言っていた。森田童子を思い出した。
たとえば君が死んだら、少なくとも僕は悲しいし
たとえば僕が死んだら、少なくとも君は悲しいはずだな、と思った。
現実はそれくらい簡単なんだから、つべこべ言わずに突き進むしかない。
僕が死んだら悲しい僕のために。
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