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【エホバの民だと思っていた】第1章 カルトの入り口
「人からしてほしいと思うことを、そのとおり、人にもしてあげなさい」
マタイ7:12 リビングバイブル
真夏。エホバの証人の突然の訪問。
聖書の語る希望について学んでみませんか?玄関先で微笑みながら語るエホバの証人を母はひとことで追い払った。
「わたしはクリスチャンなので結構です」
エホバの証人が危険な集団であることは牧師から聞いていた。彼らと関わってはいけないと言われている。
窓の外に目を向けると、先ほどのエホバの証人の婦人が小さな娘と手を繋いで歩いていく。
打ち水が地面につく前に蒸気に変わるような沖縄の暑さのなか、子どもを連れて歩く姿に痛々しさを感じる。と同時に、かわいそうだと思った。
話は聞かないにしても、冷たい水の一杯くらいは飲ませてあげれば良かった。
教会で隣人愛を教えられたはずの自分の冷たさに良心の呵責を覚える。
その時、心の中にイエス様の言葉が響いた感じがした。
「人からしてほしいと思うことを、そのとおり、人にもしてあげなさい」
ベビーベッドで寝息を立てる息子をいちべつし、玄関に向かい駆け出す。外に飛び出して、エホバの証人の親子に声をかけた。
「あの、もしよかったら、お水を、、、」
この日、僕たち家族にカルトの扉が開かれた。赤ちゃんだった僕は泣くことしか出来なかった。
母は12人兄弟の長女として沖縄県宜野座村に産まれた。親の愛を感じることができない家庭環境で、下の子たちの世話をしながら、毎日を寂しく暮らしていた。
ある日、小学校の図書館でイエス・キリストについて書かれた本と出会う。読み終えると、わんわん泣いた。
こんなわたしのために、命を捨てた方がいる。
大人になったらクリスチャンになるんだと心に決めた。まだ小学生だった母はこの日、新しい命を得た。
クリスチャンはベジタリアンかもしれない。謎の思い込みから、菜食を貫く時期もあった。母を導いてくれるクリスチャンは周りにいなかった。
大人になり、結婚した相手の母親は熱心なクリスチャンだった。姑に連れられて天久神の家教会に通うようになった母は、小学校の図書館での誓いを果たした。
琉球大学でヨットサークルを立ち上げるほど海が好きだった旦那さんは、海に包まれて命を落とした。
幼い子どもを育てながら母の心にかかる水圧は日を追うごとに増していった。
数年後、母に寄り添ってくれる男性と再婚した。その男性との間に僕が産まれた。この男性の顔を僕は思い出せないし名前も知らされていない。理由が明らかにされていない何かが原因でこの男性は家を出た。
天久の教会から遠い場所に引っ越したこともあり、教会へ足を運ぶことは少なくなっていった。
寂しさと子育ての忙しさに翻弄されている毎日。エホバの証人が家を訪ねてきたのは、そんな時だった。エホバの証人信者の優しさとコミュニティの受容力は母の壊れそうな心を受け止めるのに充分だった。
最初の旦那さんの姑は優しい人で、たびたび母の元を訪れた。血の繋がっていない僕の事も孫として可愛がってくれた。母がエホバの証人になると聞いた時には、とてもとても悲しそうな顔をしていたという。
母が健全な信仰に立ち返るよう、孫たちがイエスキリストを受け入れるよう、おばあちゃんは毎日のように祈っていたと思う。
おばあちゃん、お祈りありがとうね。と天国に着いたその日に伝えたい。
カルトの扉には内側に取っ手がない。一度入ると自力で脱出することは難しい。誰かが扉を外から開いて、掴み出してくれるのを待っている人がいる。
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エホバの証人へのアプローチについては以下のサイトが助けになります。
沖縄にゴスペルを。 わたしの内におられるキリストは強い方。 御心のままに働きます。