執行サトシ

「アセクシャル 」という言葉に出会うことで、恋愛が理解できない自分を自己肯定できる可能…

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「アセクシャル 」という言葉に出会うことで、恋愛が理解できない自分を自己肯定できる可能性を見出した、41歳の男。 アセクシャル を軸に恋愛と人間関係を考え直してみたい。

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アセクシャル と浮遊する自己認識

「それならそうと早く言ってくれればよかったのに」 具体的な誰かに文句を言えるわけではないが、ついどこかの誰かにそう言いたくなってしまった。 41歳、男性、会社員、一人暮らし、彼女なし。 貧乏でも金持ちでもなく、仕事はそこそこ楽しいし、好きなことや趣味もいろいろあって仕事以外も楽しいし充実している。 趣味を通じて知り合った友達も増えて、一緒によく遊びに行ったりもする。 現状にとくに不満はない。 こう書くとそこらに普通にいる、ごくごく普通の属性を持った人間だと思われるだろうし

    • アセクシャルにおける男女差の話

      今、NHKで「恋せぬふたり」というアセクシャルをテーマにしたドラマがやっているそうで、SNSでもアセクシャルの話題を見かけるようになりました。 僕も興味はあるものの、テレビのない生活をしているのでオンデマンドで見るか……と思っているところで重い腰が上がらない状況で未視聴です。 これを機に知ってもらえることは良いことなんだろうなと当事者としては思っています。 昨日もTwetterのスペースで、「#恋せぬふたり を語る会」というのが開催されていて、話を聞いていたら色々考えたこと

      • 宝くじに当たることが幸福の至上価値である世界について

        しばらく前から異世界転生ものというジャンルが大流行りしている。 僕もいくつか読んでみたけど、面白いものは確かに面白い。 で、昨日ちょっとある設定を思いついたので書いてみようと思う。 -------------- いつも通りの朝のはずだった。 違和感を感じたのは、テレビのワイドショーを見たときだ。 人気のお笑い芸人が、他人の当選宝くじを横取りしたとかで謝罪会見をしている。 普通にそれって泥棒じゃん、とそのときは思いながらコンビニのバイトに出かけたのだった。 コンビニに着く

        • クィアプラトニックという関係性について

          今回は、僕とパートナーのその後の話を書こうと思います。 今僕らがどうしているかというと、実は一緒の家に住んでいます。 数ヶ月前に引っ越しをして、僕とパートナーとで二人暮らしを始めました。 正直に言って、今の状況が信じられないという気持ちがどこかにあります。 なぜって、20年以上も恋愛とか、誰かと付き合うとか、そういうことに関連するすべてのことがうまくいかなくて、どうしたらいいかもわからずに悩み、なぜ自分にはそういうことができないのかにも悩み、半ば諦めていたというのに、アセク

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        アセクシャル と浮遊する自己認識

          性的な関係とみなされることへの嫌悪感

          人を好きになると、心も体も結ばれたいと思うというのは普通のことなんでしょうか? 好きな人とセックスしたいと思うのは当たり前のことですか? 最近になってようやく気づいたことがあって、それがタイトルに書いたことです。 性的な関係とみなされることへの嫌悪感が自分にはあるんだってこと。 ノンセクシャルの、たぶん特に女性に多いと思うんだけど、性行為自体に嫌悪感を持つ人がいます。 男性でももしかしたらいるかもしれない。 僕自身は、性行為自体には嫌悪感は持ってなくて、求められたらしても

          性的な関係とみなされることへの嫌悪感

          結局、僕にとっての「付き合う」とは何だったのか?

          2ヶ月ほど前に、生まれて初めての彼女ができたという話はここに書きました。 付き合っている彼女とは恋愛感情をお互い持っていないし、性的関係も持たないという共通認識を持っています。 恋愛感情を持たないのは僕が恋愛感情がわからないからで、性的関係を持たないのは彼女が性的なことが苦手で、僕も性的なことはどっちでもいいから。 だから、付き合いましょうとなったときに、「でも、我々にとって『付き合う』というのはあまり意味をなさない気がするね」という話をしました。 付き合いましょうと合意

          結局、僕にとっての「付き合う」とは何だったのか?

          付き合い始めてから彼女と一度も会ってないけれど…

          おかしな話だと思われるだろうけれど、実は付き合い始めてから彼女と一度も会っていない。 別に、いきなり喧嘩をしたわけではなく、コロナのせいで。 ステイホームと言われて、なかなか気軽に恋人に会えないというカップルも多いと思うけれど、僕らもそのうちの一組というわけだ。 普通に会っているカップルも多いと思うんだけれどね。 僕らはとりあえず5月末くらいまで会わないでおこうかという選択をした。 いろいろタイミングが悪くて、3月中頃に3回目のデートをして、帰ってきてからやっぱり価値観も

          付き合い始めてから彼女と一度も会ってないけれど…

          アセクシャルに彼女ができた日

          彼女ができました。 久しぶりのnote更新で何を言い出すかと思えば……と思われるかもしれませんが、そういうわけでいろいろ状況が変わったのでまた書いてみようと思ったんです。 ダッシュボードを見てみると、一年以上更新していないのに一定の購読数はずっとあって、この辺のことを書く意味もやっぱりあるのかなと思ったのもありますし。 前提なしに読まれる方もいると思うので、軽くこれまでの経緯を説明しておきますと、約1年半ほど前に「アセクシャル 」という言葉と、その存在を知り、あぁ自分はこ

          アセクシャルに彼女ができた日

          恋に酔えなくても、シラフで楽しいことしてりゃいいじゃん?

          最近、「ちひろさん」という漫画を読んでいて、タイトルのセリフに出会った。 このセリフが出てくるのは、第4巻の「非恋愛体質」というお話。 ちょっと長めだけど引用してみる。 ニューハーフのバジルさんとちひろさんの会話の場面。 ちひろって不思議よね こんな話聞いてヤキモチとかやかないの? あなたって、誰かに恋したりしないの? その人の心を一人占めしたいとか、思いすぎて苦しくなったりとかないの? どうしてそんな風にいつもニュートラルでいられるの? 知り合ってからずっと不思議だった

          恋に酔えなくても、シラフで楽しいことしてりゃいいじゃん?

          恋愛は攻略ゲームだったのかという納得と落胆と憂鬱

          恋愛シミュレーションというジャンルのゲームがある。 僕が大学生くらいの頃、「ときめきメモリアル」というPlayStationのゲームが流行っていて、僕も内緒で買って親の見ていないところで繰り返し遊んでいた。 説明するまでもないが、高校生の主人公である自分がゲームに出てくる女の子たちと仲良くなって、卒業式の日にその仲良くなった女の子に告白されればハッピーエンドというゲームだ。 ゲーム中では勉強や部活でパラメータを上げたり、デートに誘って会話で出てくる選択肢の中から喜ばれそうなも

          恋愛は攻略ゲームだったのかという納得と落胆と憂鬱

          「好き」のグラデーション

          僕の周りの人や、たぶん世間一般の人たちは主に恋愛感情を指して「好き」って言うよね? というような話を以前に書いた。 恋愛感情としての「好き」もあれば、友情としての「好き」、家族としての「好き」もある。 「好き」にもいろいろあるはずなのに、相手が恋愛の対象になると、つまりヘテロなら異性ということになるけれど、その恋愛対象となり得る相手に対して「好き」と言った場合、それが友情から出た言葉だとしても、必ず恋愛感情として理解されるのは納得がいかないという話。 最近思うのは、「好き」

          「好き」のグラデーション

          「自分にないもの×性欲=恋愛感情」ならば、僕に恋愛はできないと思う

          アセクシャル であっても、恋愛をあつかった小説や漫画、映画、ドラマを見て、恋愛感情が理解できるという人は少なくないらしい。 僕も恋愛小説や恋愛映画は嫌いじゃないし、それに出てくる登場人物たちの恋愛感情を想像することはできる。 恋愛感情を想像したり、理解したりすることができるからこそ、自分にそんな恋愛感情が起こらないということも、逆に理解できるというところもあるわけだ。 自分に恋愛感情が湧かない、あるいは湧きにくいということについて知りたいと思うこともあるし、他の人たちが恋愛

          「自分にないもの×性欲=恋愛感情」ならば、僕に恋愛はできないと思う

          恋人として付き合うって何だろう?

          「付き合う」ってどういう状態を指して言うんでしょうね? 「恋人同士」になるとか「彼氏、彼女」になるって、それは結局どういうことなんでしょう? そういうことを考え始めると、やっぱりわかんないな……というところでグルグルしてしまう。 なので、一回書いて整理してみようというのが今回の趣旨。 「付き合う」ためには「告白」という儀式が必要になる。 というか、必須ではないけどあった方がいい、というのが一般的な認識だ。 そうでないと、私たちって付き合ってるんだよね? でも告白されてないし

          恋人として付き合うって何だろう?

          誰かとつながりたいと思うことと、恋愛がしたいと思うこと

          ものすごい、今さら? という感じなんだけど、「逃げるは恥だが役に立つ」の原作マンガを全巻大人買いして、一気読みした。 恋愛観や結婚観についていろいろ考えさせられたし、刺さるところもたくさんあった。 なんで今まで読まずに放っておいたんだろう? 早く読めばよかったとも思ったけど、ドラマ化された2年前に読むより、アセクシャル と恋愛について考え始めた今のタイミングで読むことに意味があったのかもしれない。 登場人物の中では、恋愛経験や恋愛に対するスタンスという意味では、平匡さんが近

          誰かとつながりたいと思うことと、恋愛がしたいと思うこと

          恋愛感情の自家発電はけっこうつらい

          「感情の自家発電」なんて表現はあまり聞かないと思う。 僕もあまり言わないし、普通の会話には出てこない。 じゃあ、どこで言われるのかというと、演劇のレッスンで、演劇の講師の先生によく言われる。 僕は数年前から演劇を趣味として習っていて、俳優として舞台に立ち、演技をする方法を学んでいる。 「演劇」とはどういう芸術なのか? 僕は、演劇とはコミニュケーションの芸術なんじゃないかと思うのだ。 それぞれある役割や過去を持った人物たちが、ある状況で出会う。 その中で、登場人物たちがある

          恋愛感情の自家発電はけっこうつらい

          何が恋で、何が恋でないのか

          僕は恋愛ができない人間である、という前提に立つと、いろいろと腑に落ちるところもあるし、逆にわからなくなることもある。 わからなくなったことの一つは、恋とは一体何なのか? ということ。 果たして、どこからが恋で、どこまでは恋じゃないのか? それって、普通に恋愛ができる人たちはわかって恋愛をしてるんだろうか? そんな素朴な疑問。 自分がアセクシャル、誰かに恋愛感情を持たず、性的に惹かれないという性的指向を持っているのではないかと気づいたとき、アセクシャルについても調べたけど、恋

          何が恋で、何が恋でないのか