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ギターの”上達率”が高まった練習方法まとめ。科学の視点も入れて考察しました。【31歳からのギター練習日記 (700日目)】

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「”上達力”をテーマにしてるのに、自分自身で実践してることを言わないのはどうなん?」

思ったので書いてみます。

31歳からアコースティックギターをはじめて、今日で700日がたちました。

日によってばらつきはありますが、1日あたりの練習時間は平均30分くらい。

日数を重ねてくると、うまくなりやすい練習となりにくい練習が少しずつ見えるようになってきます。

そこで今回は、自分の中で
「これは上達しやすい練習だな」と思った方法
をまとめることにしました。

とはいえ、ここでただの僕個人の”感想”を書いても、
「ふーん」
「だからなんだよ」
「私には関係ないじゃん」
となってしまいますよね。

なので、この記事は
僕以外の人にも使えそうな方法
になるよう、自分なりに科学的な視点も取り入れた"考察"にしてあります。

あなたがもし、
「いまよりいい練習方法はないかなー」
と考えているなら、ちょっぴり参考になる話じゃないかなぁと。

ただし、ここでお話しする”上達率が上がった”というのは、あくまで
「”この練習方法を試す前の自分”と比べて、”この練習方法を取り組むようになった自分”のほうがより上達しやすくなったよ!」という話です。
「他人よりも上達が早くなったぜ!」という話ではないことをご了承くださいませ。

そして、僕自身は天才でも何でもありませんので、「全然成長してないじゃん」と思っても、温かい目で見守ってくださるとうれしいです。

1.基本的な音楽理論を勉強した

今までの僕は、譜面通りにただただ音を追っていくと言う作業をしていました。

感覚的には、電話番号を覚えるような作業と同じだったわけですね。
これはなかなかに苦行でした。

これに対して、基本的な音楽理論、コード進行とか、リズムや和声の仕組み、スケールの仕組みを学んだことによって、曲全体の構造が理解できるようになりました。

すると、今までただただ音符の羅列だった譜面が、大きなブロックの綱が理に見えるようになり、「次はだいたいこんなブロックが来るな」「こんな曲の展開になるな」といった音符の流れが、すこし予測できるようになったのです。

覚える音符の数が減った感覚になったわけですね。

そして演奏も、決まった指の運びのパターンをつなぎ合わせるような覚え方になったので、譜面の暗記も運指の学習もスムーズになりました。

 ・大人の学習に必要な「スキーマ化」「チャンキング」

音楽理論を学びはじめたことで覚える量が減った感覚になったのは、おそらく学習理論でいうところの「スキーマ化」や「チャンキング」といった現象が起きたからかなと思ってます。

それぞれをざっくりいうと、
スキーマ化・・・バラバラの情報を構造化する
チャンキング・・・複数の情報をひとまとめにする
みたいなもので、学習する上では便利な現象なんですね。

以前の僕のように
「譜面をただただ追って音符を一つ一つ覚えていく」
というのは、かんぜんに丸暗記。
しかも、意味のない文字列を丸暗記するような能力は10代前半をピークに衰えていくといわれているので、なおのことしんどい方法だったと言えるでしょう。ぐぬぬ。

音楽理論は楽曲の仕組みを体系的に理解するものなので、丸暗記ではなく、もっとでっかい流れや旋律の塊としておぼえる、つまりスキーマ化やチャンキングして覚えることができる方法だと考えられます。

だから、覚える量が減ったように感じられるんと思います。良き方法。

勉強の話題だと
「大人が暗記する力を高めるためにはスキーマ化やチャンキングが大切だ」という話がよく出ます。

この話は、音楽を学ぶ場合でも共通することのようですね。

2.他の楽器の知識も並行して学習した

僕は最初、ひたすらギターだけを練習していたわけですが、その過程で
「ドラムの知識が役に立つ」
と感じました(叩けるわけではない)。

ギター弾き語りの伴奏では、ドラムパートと同じように安定したリズムでストロークしたり、アルペジオのリズムを刻んだりする必要があります。
安定してリズムを刻めないと、なんとなくまとまりのない、”ノリの悪い”演奏になってしまうんですよね。

ギターだけを練習していたときの僕は、この「なんかノリが悪いなー」という状態を改善できずにいました。
しかし、ドラム演奏の知識を学ぶようにしてから、あきらかにリズミカルな演奏ができるようになってきています。

これはおそらく、ドラムの知識をインプットしたことで
「この曲のノリ感はどう生まれているのか」
「曲を演奏する上でリズムがいかに大事か」
といった、楽曲に向ける注意の幅と深さがUPしたからなんじゃないかなぁ、と思っています。

 ・「転移」と「抽象化」が役立った

他で学習されたスキルが他のスキルに影響することを、心理学的な用語では「転移」と呼びます。

今回のドラムの知識がギターに生きたというのは、まさにこの「転移」が効果的に働いたと例だといえるでしょう。

一般的に、大人になるほどたくさんのことを体験しているので、転移は起きやすくなります。人生経験を積んできた大人にとっては、この「転移」というものがいかにうまく使えるかが、上達において1つカギになると思います。

そして、この転移を起こすに当たって同時に役立ったのが「抽象化」という考え方でした。

「抽象化」とは、一見関係ないような2つのことの共通点を見つける、そしてつなぎ合わせることです。

今回の場合は、「ギター伴奏のノリ感」と「ドラム演奏」に「リズムが大切」という共通点を見出すことで、闇雲にギターだけを練習するのではなく、あえてドラムの知識をつけるという施策を思いつくことができました。

「抽象化」という考え方を使ったことで、「転移」を起こしやすくする行動を取ることができたわけですね。

「抽象化」という考え方自体に上達力UPの効果があることを示す文献は、見つけていません。
ただ、個人的には、練習内容や意識の向ける場所を考えるのに便利だと感じています。
楽器演奏に限らず役立つテクニックかなぁ、と。

3.あまり長時間粘りすぎない

以前の僕は、できない箇所があると悔しくて、その日はひたすら同じ箇所を長時間練習しようするタイプだったのですが、今は早めに見切りをつけるようにしています。

なぜかというと、
長時間やった場合
・一定のタイミングから集中力が切れてどんどんうまくいかなくなっていく
・その日できるようになっても、わりと後日忘れてる
なんてことが多く、反対に短時間で切った場合は
・集中力が切れる前にやめるので死んだ時間が減る
その日にはできなかったのに、後日挑戦したらあっさりできた
なんてことが多々あったから。

トータルの練習時間が同じとき、短時間で区切っている場合のほうがより上達している感覚があったんですよね。

調べてみると、この感覚は学習理論とも一致していました。

 ・「集中学習」と「分散学習」の知識はあると得かも

学習理論には、「集中学習」と「分散学習」と言うものがあります。

集中学習は文字通り一気にぶっ通しで学習することで、分散学習は細かく区切って時間を空けて学習することを指します。

そして、学習効率が”悪い”のは「集中学習」。これは勉強でも運動でも共通しているそうです。

さらに、集中学習で覚えたものは、
「練習したその瞬間だけは上達した感覚は得られるものの、実際にはすぐに忘れてしまう
と言う性質があります。

やった気はするのに、実際には身についていない。よくないですね。

「できるまで今日はやめないぞ」という耐久レースみたいな状況は、とうぜんながら集中学習になってたわけで・・・かなり残念なことをしていたことになりますね。ぐぬぬ。

なので、最近は
できない箇所は決まった時間やったら一回あきらめる
ようにしました。
ただ心に決めただけだとついついやり過ぎてしまうので、タイマーを設定して強制的に見切りをつけるようにしています。

4.長時間練習するときは”複数の課題”を行うようにした

上で長時間練習は集中学習だから良くない!という話をしました。

とはいえ、今日はたくさん練習したい!という日も、もちろんあるわけで。

「たくさん練習したい」
「でもそうすると練習効率は落ちてしまう・・・」
という矛盾を抱え葛藤しました。

なにか間を取れるようないい方法はないかと調べ、たどり着いたのは、
「もし長時間練習をする場合には、同じ箇所をやり続けるのではなく、異なる課題を少しずつ練習する
というものでした。

これは、ケンブリッジ大学の
「”トータルの練習時間”が同じなら、練習する”期間”は長い方がいいよ!」
といった内容の研究(*1)を参考にやりはじめたことです。

たとえば、
・課題曲の数・・・3曲
・1日の練習時間・・・3時間
・期間・・・30日間
という条件で練習する場合なら、
「10日間1曲だけをずっと練習×3回」
ではなく
「1日3曲を1時間ずつ練習×30回」
というふうに練習するといった感じ。

僕のこの解釈が正しいのかはわかりませんが、
「同じ課題を長時間くり返すのは集中学習になってしまうけど、違う練習を少しずつやるのなら、”分散学習を何個もした”ことになる」
ってことなんじゃないかなと。

実際やってみた感想としては、
・練習量に対して忘れる量が減ってる感じはするが具体的にどのくらい差が出てるかは分からない
・違う課題をするので集中力は落ちにくいという意味では助かる
です。

個人的には、学習効果以上に”集中力がとぎれにくい”という意味でこのスケジュールの組み方にしてよかったなと感じてますね。

5.まとめ

今回は、僕がギターの上達率が高まったと感じた練習方法を、科学的な視点も踏まえながらまとめてみました。

もう一度ふりかえると、
1.基本的な音楽理論を学んだ
2.他の楽器の知識も並行して学んだ
3.あまり長時間粘りすぎないようにした
4.長時間の練習するときは”複数の課題”を行うようにした

です。

これからギターを学ぼうと思っているorいま学んでいるというあなたの参考になればうれしいです。

【参考文献】

*1 The Influence of Length and Frequency of Training Session on the Rate of Learning to Type (A. D. BADDELEY &D. J. A. LONGMAN)
https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/00140137808931764


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