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詩作、過去作品 公開保存用

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2023年2月の記事一覧

ある秋の重力

手紙に手紙を書きたくなる
秋に癒着する水の
この温度では
わたしから脱皮した皮膚はとけない
汽水にすむ二枚貝は
明け方の亡骸を咥えて肥るというのに
吐息がまだ散文とはほど遠い時間
自分の身体もこの土の
重力につづいているのだろうか
葉のこすれる音がしなければ
静けさがどこから来たのかすら
おもうことはなかった

林道をあるいた記憶を栞にして
野鳥が力尽きている様子が
物語の二連目から
書き出される

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