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#166 読書録 52ヘルツのクジラたちを読んで自分の幸せと知らない間に傷をつけてることに気づかされた話

こんにちは!けーたです。

休日の今日はゆったりとした気分で、朝から52ヘルツのクジラたちを読んだので読書メモを残しておきたいと思います。

この本との出会いがいつだったかはもう記憶にありません。

それぐらい長い間、自分の本棚に背表紙だけを向けて存在していました。

仕事の生産性向上やビジネスにおける新しい視点、視座、視野が得られるような本を優先的に読んでいたので、購入当時、本屋大賞にノミネートされた作品でしたので、いつか自分の時間に余裕が生れたら読むとご褒美としいての位置付けでした。

ご褒美に辿り着くまでに数年という月日が流れました。

そんなハードルが上がりまくったこの「52ヘルツのクジラたち」もう、これでもかってぐらいあっさりと期待値を飛び越えてくれました。

ビジネス書以外でも、しっかり感性を磨いて人間力を鍛えられるので、ご褒美としてもったいぶらずにさっさと読んで血肉にしておけばよかったと思いました笑

内容としては、結構ハード目の児童虐待、家庭内暴力やネグレクト、それが因果の鎖となって続いている事が書かれています。

その為、気づきは多いのですが、苦手な人もいるので誰にでもおススメはしません。

ただし、自分の視野は確実に広くなれたので自分としては出会えてよかった本に間違いなく入りました。

という事で改めて今日は「52ヘルツのクジラたち」について読みたての熱い気持ちを感じたままに残しておきます。


全体を通しての読後感

主人公は、複雑な家庭環境で人権を無視されながらもココロを殺して生きていくハードなスタート。

そこから、環境の影響によりココロと体がどう変化していくのか、そして心に深く刻まれた傷がどのように作用するのか、丁寧に丁寧に描かれており、こんなハードな世界観を自分はまったく見たことも、体験したこともないレベルではあるが、この世界に没入できました。

ただ、読み進めていると、何となく時間軸がおかしい?というか、あれこの状況って何か読み飛ばした?みたいな違和感を感じながらも読む手が止まらない不思議な読書体験ができました。

人の気持ちにフォーカスしながらも、構造的にミステリーというか、伏線(というとチープに感じさせてしまうので本当はもっとよい言い方がありそうな気がしますが、、、)がしっかり張られて、意外な所で回収されて単なる人間ドラマ以上に感情がガンガン揺さぶられました。

あまり書くと、自分が体感できた「52ヘルツのクジラたち」の衝撃が目減りしてしまうので、多くは語れませんが、この本の魅力を語りあいたいという方は是非コメントいただけると嬉しいです。

3年まえの本なので、いらっしゃらない気もしますが笑

どんな面がココロに引っかかったのか話をしてみたいですね。刺さる所の違いにより気づきが多そうです。

どんな人におススメ?

人の内面に深く切り込んだ作品が好きな人には是非是非おススメします。

冒頭にも書いたのですが、DV(今回は男性から女性)やネグレクト、児童虐待(身体的、精神的な暴力)などがずーっと物語のベースとして存在するので、この手の話はちょっとという方もいると思うのでその点はご承知おきください。

良い本であっても、こういうのはちょっと、、、という方は読書時間を楽しめないとは思いました。

気になったフレーズや構造達

過度なネタバレにならない程度に残しておきます。ただ、少しでも気になる人は是非飛ばしてください。

外で人には迷惑をかけません。とノート1冊分書いて、食事を満足にもらえない生活が終わった

「外で人には迷惑をかけません」と書かされている側が、どう反省すればよいのか、実際にこの状況に発展した事象と反省文のつながりがなく、なぜこの状況に追い込まれているのか?まったくわからないダブルバインドの典型例だなと思い、ココロが苦しくなりました。

ただ、自分の事に引き寄せてみると、自分の娘に対して、自分の考えているこうあって欲しいという想いとずれた時に、同じような事をやってしまっているのでは?とハッとさせられました。

子供は、ただ今は自分の力だけでは生活はできないが、完全なる一人の人間として接していけるように、良い距離で伴走できるように気を付けていきたいと思います。

義父を生かす為に、自分の何かを殺し続けてきた

ストーリーの中では、虐待の一つの手段として、完治の見込みのない難病の介護をヤングケアラーが一人で全てをやり続ける状況が描かれていた。

ただ、良い悪いを一度横において、ヤングケアラーが介護のメインを担う構造にフォーカスすると、たくさん世の中にあるんだろうなと考えさせられました。

人を生かす為に、自分の何かを殺し続ける事

それがいつか、自分の限界を超えて、何かのアクションとしてあふれ出す。

では、どうしたらいいの?と自分の先の人生にもこれが来そうな予感があるので、今からもう少し具体的に考えていきます。

この構造問題。最近はよく耳にする話題ではあるので良い気づきになりました。たぶんメッセージは違う所にあるような気もしますが、大事な誤読ということにしておきます。

あの子は叱られたことも、思い通りにいかずに悔しい思いをしたこともなかった

心身ともに生死の境目を生き抜くような壮絶な体験を幼少期に過ごしてきた主人公との対極、対比で語られているこの表現。

最終的な着地点として、愛情が心の中に育てられない象徴として描かれていた。家庭内暴力(ネグレクト含む)を生み出す親として。

この表現も自分が、単に自分のココロを満たす為だけに子供に優しくして、本当にその時、その時に悩みながら考え抜く、生きる力のベースを育む機会を奪っていないか?と考えらさせられました。

まとめ

最近の読書の中では感情が最も揺れうごいた作品でした。

特に印象的だったのは、祖母、母、娘と図らずとも人生がトレースしている部分があり、そうなる構造ってやっぱりあるのかなと考えさせられたり、惹かれる人のタイプも似たりするのかな?とこれまでの人生を振り返って最近なんでもかんでも「そうなる構造」の存在に思考が収斂していくなと思いながらこの本も捉えておりました。

今回は、地獄のような辛い環境においても人と人とのつながりにより掬い上げられる温かな終わり方をしていますが、実際の世界には児童虐待や家庭内暴力がそのままNewsをにぎわす悲しい結果になってしまったり、全く日の目をみずに今も苦しまれている方がおられることを想像すると心が苦しくなりました。

この本を読む前は、その歪みに心を寄せることがなかったので、今はその存在を感じられる。その意味で視野が広がったかなと思います。

色々な点で新たな問いを考える良い機会となる本でした。

誰かの選書の参考になれば幸いです。

ではでは

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ここからは別件で、先日、友人からのありがたいnoteへのFBを受けて、コツコツ過去のnote投稿を修正しています。

こちらの投稿が完了したので、興味がある方は覗いてみてください


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