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2009年8月26日のmixi日記から

今から11年前、mixiの日記で書いた夏の甲子園決勝・中京大中京対日本文理戦のこと。

以下、再録。

    ※                      ※

試合終了後、中京大中京の校歌が流れる中、涙が止まらなくて
首に巻いていたタオルで顔を覆った。
当事者でもないのに、声を出して泣いた。
悔しさほとんど、嬉しさ、ビックリしたという思いが少しという感覚。
勝ったら泣くんだろうな、とは思ったけど、まさか負けて泣くとは思わなかった。

日曜、東京ドームで都市対抗野球を撮影中、文理の試合が気になっていた。
携帯で結果を知り「明日行くしかない、たぶん行かなかったら絶対後悔する」と甲子園行きを決めた。
高校入学直前にセンバツを見に行って以来、13年ぶり。
夏の甲子園に行くのは初めて。

正面入口の「決勝戦 中京大中京対日本文理」のボードに鳥肌が立ち、
中に入って球場全体の雰囲気に、静かに興奮してくる。
そして改めて気付いた。
「甲子園は日本野球界の聖域」

試合中盤、ちょっと目頭が熱くなった。
全国屈指の強豪と互角に戦う新潟代表の姿に、
新潟でも甲子園で通用するんだ、と。

一挙6点取られて大量リードされても、普通に追い付くんじゃないかと思ってた。
理屈じゃなくて、感覚的にそんな気がした。
4対10で迎えた9回、堂林が投げるのを見て、「逆転あるかも」と感じた。

たぶん武石のライト線へのヒットだっただろうか、
目の前でボールが落ちるのを見た瞬間、思わず「よっしゃー!!」と絶叫した。
もう、壊れてた。

「何が何でも義人か伊藤まで回せ!」
「とにかく繋げ!」

もうこんな状況で冷静でいられるわけがない。
高橋義人が四球を選び、伊藤が打席に入る場面、
「伊藤コール」が球場全体から巻き起こったと報道されたが
まったく耳に入っていなかった。
でも、球場全体がものすごい雰囲気になっているのはひしひしと伝わってきた。
代打・石塚も続いてついに1点差。
「もう逆転しかない」

若林が打った瞬間、音で「抜けたか?」と最初思った。
よく見るとサードがグラブを高々と突き出していた。
体の力がフッと抜けていって、放心状態に。
そして冒頭のような状況に。

しばらくして、知人からメール。
メールを見て、また泣けてきた。

試合後、中京大中京を讃え拍手する文理側のアルプス。
逆に文理を讃える中京大中京のアルプス。
ラグビーのノーサイドではないけれど、このような光景は日本の野球文化に後世残すべきた。
決勝戦表彰式の最後、場内に流れる「蛍の光」が心に響いた。

甲子園から梅田に向かう電車内、近くに中京OBとおぼしき中年男性の集団がいて
その中の人がこう言っていた。
「最後は本当に逆転されるかと思ったよ。あれはヤバかったよなぁ」
甲子園最多優勝回数を誇る、敵からこんな言葉を聞くなんて・・・。

ここ数年、新潟県勢の甲子園の戦いが明らかに変わってきている。
今回の準優勝はその最たる例と言ってもいい。
間違いなく新潟の高校野球全体に影響を与えるはず。
来年の展望号取材が楽しみになってきた。


ちょうど休みと重なったというのもあるけど、
甲子園に行って本当に良かった。
本音を言えば新潟県勢初の優勝を見届けたかったけど、それは今後のお楽しみという事で・・・。
その時はもちろんその瞬間に立ち合って・・・また号泣しそう。

欲を言えば母校の甲子園出場は絶対立ち合いたいなぁ。
いつになるかは分からないけれど・・・必ずや。

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この夏の日本文理については岡田浩人さん著の「最終回は、終わらないー日本文理高校準優勝の真実」に詳しく書かれている。

当時、文理野球部とは接点が無かったが、春季大会や夏の大会の撮影や2016年夏、新チームが始まって間もない頃に文理グラウンドで練習を見学するなど次第に接する機会が増えていた。

特に練習見学に行った際、鈴木崇コーチ(現監督)が言っていた2009年準優勝世代、2014年夏甲子園ベスト4世代についての評価・指摘が興味深かった。

そして、今年1月にはアオーレ長岡で開催された僕の写真展に文理の野球部員有志が来場してくれた。自分たちの写真は展示されていないにも関わらず。

「展示されている他の野球部の写真から何かを学びたかった」

ある部員の子が言った一言に、その貪欲な姿勢を感じた。

昨年秋は県大会初戦敗退だっただけに、春、夏と巻き返すのではと思っていた矢先、コロナウイルス感染拡大の影響で春季大会は中止。独自大会となった夏は決勝まで勝ち進むも、中越に敗れ準優勝となった。

それでも、試合後の勝利インタビュー中、ベンチ内で立ち上がって話を聞き、終わったら拍手する姿に文理野球部の矜持を感じた。

今秋は県大会準々決勝で加茂暁星に敗れている。でも、このまま終わるわけがない。そんな気持ちなのは事実だ。




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