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新米歯科院長奮闘記 〜戦闘潮流 金パラ色の波紋疾走〜その1

【患者数14人 保険点数11,218点 自費0円】

これが、私の記念すべき院長としての第1日目の結果である。

実際は、私の身内が4人と、スタッフの家族を1人含むので、正味のところは9人である。

事前に電話で予約を取ってくれた人もいるし、当日飛び込みで来られた人もいたように思う。

チェア2台、歯科医師は自分一人で、助手3人に受付1人。しかも3人が歯科業界未経験という、なかなかパンチの効いたメンバー構成でスタートした我が医院だが、特に大きなトラブルもなく無事初日を終える事ができた。

衛生士に関しては、オープニングスタッフと言う事で、わずかに望みを持っていたが、結局のところ最後まで応募どころか一件の問い合わせさえもなかった。

今にして思えば、勤務地は1番近い電車の駅から徒歩30分の住宅地。周りには、仕事終わりに立ち寄れるような楽しいお店やスポットもなく、なおかつ平日夜9時までの診療。

さらに、給料もたいして高くないときたら、いくらオープニングスタッフといえども応募なんて来るはずがない。

冷静になって考えればわかる事だが、この時はわからなかった。

今なら、どうすれば応募が来るのかある程度わかる。

社保、厚生年金完備、勤務時間は極力短く平日は遅くとも夕方6時まで。休日や祝日もしっかりあって、さらに年に3回の長期連休あり。有給も自由に取れて、退職金あり。お給料は高いに越したことはないが、普通か、それより少し高いくらいで十分。

また、スタッフが仲の良い事は良いんだけど、別にプライベートまで仲良くする必要ないので、オンとオフはしっかりわける。だから仕事終わりの楽しい(?)飲み会とか、バーベキューとか、院内旅行とかのイベントは一切なし。

真夏に着たいTシャツみたいなもんで、ドライ&クールな職場。間違っても冬の寒い日に食べるクリームシチューみたいな、あったかくてアットホームな職場ではない。

ただ、当時はそれがわからなかったし、出来なかった。

とにかく、はやくこの莫大な借金を返さなくては、、、と言う強迫観念に駆られていた。

そのためには、誰よりも長く働き、誰よりもハードワークに耐えて、そして、それについてきてくれる人は必ずいる!

、、、と信じていた。

いるわけないのに。

若いと言う事は、時に素敵で、時に眩しくて、そして、時に惨めなほどに残酷で滑稽だ。

この時の自分は、持ち前の【なんとかなるやろ精神】で、本当に【なんとかなる】と思っていた。なんともならないのに、、、。

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