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【院長への道 ep.10 〜開業戦線異常なし】診療時間どうする?

 さて、開業場所も決まった、歯科医師会にも入会の意思を示した。そしたら次は、診療時間をどうするかだ。

 前の職場は、朝10時から夜9時までの診療だった。これは大変に辛いものだった。だって9時に終わらないんだから。いつも家に帰ってくるのは23時とかで、そっから風呂入って、ご飯とか食べるから寝るのは大概深夜の2時とか3時とか。

 そして、翌朝眠い目を擦りながら朝8時頃に起きるんだけど、やっぱりそんな生活が長く続くわけない。ずっと慢性的に疲れが取れない感じだったので、自分で開業したら絶対に診療時間を短くしようと思った。

 色々と考えた結果、診療時間は

朝10時から夜9時まで

とした。

、、、。

、、、、、、。

、、、、、、、、、。

 いやいやいやいや、一緒ですやん!
 前と全く同じですやん!

 そうなのだ。結局、悩んだ末に夜9時まで診療することにしたのだ。なぜなら、自分の開業する場所は、残念ながら駅から遠く、1番近い最寄りの電車の駅から徒歩30分かかる、少し、というかだいぶ不便な場所にあった。

 にも関わらず、道路を挟んだすぐ斜め前にも歯医者があり、その他にも半径500m以内に3件も歯科医院がひしめく、歯科医院密集地帯だったのだ。

 そんな所に、後発で歯科医院を開いた所で、何かよっぽどの売りがないと患者さんは来てくれないと思った。せめてお金さえ有れば、広い場所で駐車場も沢山用意して、うんと費用をかけてすごく綺麗でオシャレな外観にして、設備も最新のものを揃えて『ドヤっ!』っとすれば、それはものすごくキャッチーで新しい患者さんも開拓しやすいと思う。

 しかし、自分にはお金がなかった。広さも30坪で建坪20坪しかない。その上に築20年オーバーの古びた上物。駐車場もない。リニューアルにかけられるお金も限られている。

 そうなったら、もう今の自分に出来ることは

【他の医院がやってない時間まで医院を開ける】

しかないと思った。

 近隣のほとんどの歯科医院が遅くても夜8時まで、早い所は6時半までだったので、9時までというのはなかなかのアピールポイントになると思った。

 とにかく、一度でもうちの医院に来てもらって、治療を受けてもらえれば絶対に気に入ってもらえるはずだ!というなんの根拠もない自信だけはあったので、まずは遅い時間の患者さんを獲得して、そこからその患者さんの家族や友人に口コミを広げてもらう作戦だ。

 まずは来てもらわなければ何も始まらないし、当院の魅力もわかってもらえないのだから、間口を広げる事にしたのだ。

 今にして思えば、この考えは悪くなかったと思う。若い時にしかできないことがある。今、9時まで仕事しろ!って言われたら無理だけど、あの当時は気力も体力も充実していたから出来た。

 ちなみに、現在の当院の診療時間は、朝9時から夕方6時、最終受付は5:30である。

 紆余曲折あり、今の診療時間に落ち着いたが、ここに来るまでにも色々とあった。今は絶対に診療時間は6時までが良いと思っている。今の時代、これから開業する先生たちは、最初からそういう時間設定をする先生も多いと思う。

 診療時間が短い方が、スタッフの雇用や、自分自身の体調管理、家族との時間などにおいて、何かとメリットが大きい。

 しかし、全く縁もゆかりも無い土地で、競合医院がひしめき合うエリアに後発で始めるので有れば、患者さんにとって何らかのメリットがないとなかなか足を運んでもらえないのが現実だ。

 若い時に長い時間働いて、年齢と共に徐々に仕事量を減らして、仕事の精度を上げていけるのが理想だと思う。

 歳を取ってから、患者さんが来ずにやむなく診療時間を延長するのは体力的にも厳しいし、何より気持ち的に惨めになってしまう。

 とにかく、新しい医院でも診療時間は夜9時までとなった。

その11に続く

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