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言葉の旅人

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さとりの迷言集。あなたの心に響くと嬉しいです。
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死因「刺殺」

針が2時を指した真夜中に
僕は誰かを刺してみたいのです

好きって何?恋って何?
刺してみたくなるほどの
愛って何?

湧かない溢れない
乾いた心境の中で
少しずつ広がるは
虚無とかそんなの

躍動的な奴らは生き生き息して
愛情を生むのに
心が見えない僕らは望み好んで
孤独を求めるんだな

自分が消えてもどうでもよくて
それでも周りは幸せであってと
泣いて泣いて乾いたこの心が
「寂しい」で表せてい

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さよなら、好きって言えなかった君よ

諦めようとしたのはぼくなのに
こんなにも息ができなくなるんだね
君の後ろ姿しか知らなかったけど
それで、もういいかな

春だからとかで靴を買った
前の靴は思い出を括りつけて
捨ててしまおうか
そうやって一つ一つ君の存在を
消してくんだ

恋を悩んで悩んで雲を掴む
触れたことすらないよ君のことなんて
こっち見てよ背を向けないで
君の視野にぼくはもういない?

君の仕草に君の笑顔に君の全てに
こんなに

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欲しかった

宣誓 我々終活を始める一同は
正々堂々と真実の愛を探すことを
ここに誓いますここに誓いました

愛の全部が僕は欲しい
つまらないものなど見たくない
空っぽの器を満たす旅

いつも探してるどこかにあるはずの愛を
人混み商店街を横切る野良猫とか
いつも見つからないどこにも落ちてない愛が
満員電車を前に狼狽る老婆とか

満たされてる君は「寂しいね」と
満たされない僕は「哀しいね」と
誇大妄想も甚だしいな

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拝啓 恋に敗れた人へ

拝啓 恋に敗れた人へ捧ぐ
幕を下ろすための文章さ

始まりはあんなに情熱的だったのに
終わりはこんなにも静かなものですね

君を常に近くで感じていたいから
一番上に固定された君のトーク画面
そのピンを外して下に流したのは
決戦に破れた次の日の土曜日でした

もうこんなに好きだったのに
結局は舞台の上でただ一人
踊っていただけでした

咽び泣いて繰り返してまた泣いて
面向かって「好き」と伝えられた

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7ヶ月の蝉

7ヶ月の蝉

「7ヶ月の蝉」

間違いだらけの世界から、
君は先に居なくなった。

「いい子だね」と言われ育った、
周りの褒め言葉から僕は生まれた。
何不自由無い暮らしと才能に恵まれ、
僕というものは退屈を覚えた。

雨宿り駄菓子屋、軒先の水溜まり。
自分を踏んで遊ぶ君に出会った。
そんな梅雨の季節。

紫陽花は咲き乱れ、牡丹色から若紫へ。
「涙は弱いアルカリ性なの知ってた?」
君は笑う。ただ笑う。見上げ空に浮

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『君という駅は僕が望む終着点』
『設備されていない荒れた線路』
『発生した恋の遅延の影響により』
『君方面の僕の列車よ』
『遅れが出ています』

言葉も、温もりも、優しさも、思いやりも、仕草も、匂いも、それは「あなた」という暴力だ。数々の暴力を受けても尚、僕があなたを欲するのを恋と呼ばずして何と呼ぶのでしょうか。

「わたしは結婚ができない」そう気付かされたあのとき、わたしの【普通じゃない】の幕が切って落とされた。しかし最近は奇妙なこと、普通じゃないが世に大衆の目に晒し、ある人は同意し、ある人は反論し、またある人は未だに差別すらする。世界はうまく回らない。不規則に回るし、時には逆にも回る。