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コロッセオ-最後の闘い(nana台本より修正)その4

息子との戦いは続く。
女性と見まごうほどの美しい顔立ち細くしなやかな手足。だが、手にしている剣は大きく武骨であった。

「息が切れてきてますね、父さん。限界ですか?」

「何を言うか、まだだ!」

相手に俺の攻撃はすべてかわされている。逆に相手からの攻撃は5回のうち1回ヒットするように。

「100戦の勇者と聞きましたが?こんなものでしたか?」

息子からの挑発の言葉が次々とかかる。俺は確かに息が上がってきて、立ち続けているのがやっと。もうどのくらい戦っているのか。

!!!!

続けざまに相手からの攻撃がヒットした。
もはやこれまでか…。
突然の銅鑼の音が戦いを中断する。

「いったん、闘技を中断し、後日改めて再開するというのはどうだろうかな。」

場内に響き渡るアナウンスの声。それにこたえる歓声。

「あまりにも長い時間の闘技に、お客様もお疲れと思います。後日改めて開催を約束いたします。ありがとうございました。」

「父さん、とりあえずお終いのようですね。お互い命があって何より。では。」

「またな。」

それぞれの主(アルジ)のもとへと戻っていく。
奴隷の身だ、息子であれ一緒にはいられない。
身分を買えばよいのだが、そこまでの資金はまだなかった。俺はどっかりと腰を下ろし息子の大きくなった背中を目で追っていった。

作品は観る者がいないと成立いたしません。観る者が1人でも成立いたしますが多ければそれだけ物書きという者ははりきるのです。観る者が育てるという役を選んでくれたなら物書きは安心して書くができるでしょう。