草野球のネット裏

第3回:500円のファン費用で、スポーツ少年団の募金箱を広げることはできないだろうか

 嫁さんの背中を追いかけるように自転車を漕ぎながら駅から家路を辿った先週の日曜、デパート前で大声で叫んでいる少年たちを見かけました。何やら募金箱のようなものを抱えているので、2⚪︎時間テレビの寄付か何かかな〜と思って通り過ぎたのですが、よくよく見ると、彼らは地元のスポーツ少年団のチーム。たしかバレーボールで全国大会に行くためだったと書いてありました。

 大声で元気に叫ぶ少年たちを見ていると、自分のスポーツ少年団時代を思い出します。部活動少年だった僕は小中高と剣道一筋で続けてきたのですが、スポーツ少年団にはたしか「部費」というものがありました。月に1000円とか1500円とか集めて、遠征時の費用や備品購入の費用にあてるのです。子どもながらにみんなでお金を出し合う感じで成り立っているんだなぁくらいは理解していました。デパート前の彼らの遠征費はそんな「1000円×人数」の積み立て費用ではまだ足りていないということでしょう。あるいは、各家庭の負担を少しでも減らそうという努力なのかもしれません。

 話変わって、ローカルのスポーツクラブチームの人と話す機会がありまして、経営状況は芳しくない様子。選手たちがクラブ一本で生きていけるくらいスポーツビジネスで稼ぐことは、やはり容易ではないようです。3000円、5000円から始まる個人スポンサーや、10万、50万と法人スポンサーを募るのですが、知名度の足りない地元のクラブチームには、大規模なスポンサーをとってくるだけの宣伝広告力がありません。だからこそ、今後の成長や勝利への期待値をできるだけ上げてファンを作っていくのだと思います。

 僕のスポーツビジネスに対する不勉強さは承知の上で語りますので、この先の記述で修正・捕捉がありましたらご指摘ご教示いただけますと幸いです。まず、スポーツビジネスの売上は主に「会場にきたファンのチケット代」「スポンサー広告の協賛」「関連グッズの販売売上」の3つだと考えています。では、売上が上がるクラブチームはどういうチームでしょうか。それはシンプルに「ファンの数」が多いチームです。
 何を当たり前のことをと思われるかもしれませんが「ファンの数」が大事ということは、つまりこれはエンタメです。原理的にはファンの多い芸人は食べていけるのと同じ話。僕は、ここでいう「ファン」というのは、毎回ゲームを見に来る熱心なサポーターや、高い協賛金を出してくれる法人スポンサーだけではないと思っていて、ここは意外と重要な視点だと思うのです。

 わざわざ球場に足を運ぶほどではないけれど巨人の試合はテレビで欠かさず見ているお父さん、いますよね。究極的にはあのお父さんみたいな人です。地元のクラブチームの活躍をネットで見て喜んでいるけれど、わざわざ球場に行ってグッズを買うほどでもないファンの人が一定数いるはずです。彼らは熱心なサポーターほど没頭してはいないのですが、れっきとしたファン。彼らの想いを「少額支援」として表現できるプラットフォームがあれば、チームもファンもよりスポーツを楽しめるのではないかと思うのです。

 例えば、各地域のローカルスポーツチームの情報が集まるアプリ。各試合結果や練習の様子など、各チームのブログに上げているような内容が更新されていくようにする。それを見て「ちょっとでも応援したいな」と思ったファンが、支援フォームから500円だけ支援したらどうでしょうか。500円支援が10人集まれば5000円。5000円を出資する個人スポンサーを探すよりも、ずっと効率的だし、その500円はとてもポジティブな500円だと思うのです。

 この仕組み、Web界隈に鋭い読者の方なら、あ!と気がつくのではと思うのですが、まさにVALUに近いですよね。頑張る個人を応援する仕組みとして広まり、ルールがグレーすぎたためにユーチューバー事件で炎上したのでも話題になりました。
https://valu.is
 各個人ではなく、各チームを支援する仕組み。もちろん優待はありませんので、厳密には投資でなく寄付です。(もしかしたら贈与にあたるかもしれないのでそのあたり要確認)支援したチームが勝てば嬉しいし、500円支援してよかったと思える。もし負けてもいい勝負をしていれば、次は300円なら支援してもいいかなと思える。そんなゲームのような仕組みができないかなと。

 そしてこれが、小さなスポーツチーム経営として、スポーツ少年団にも適応できたらいいのになと思ったのです。デパート前で大声を上げて集まる募金箱に貯まるお金ももちろん素敵ではありますが、そのデパートを横切らない人々には届きようのない声です。僕は結局少年たちに寄付しなかったのですが、その理由は単純。「わざわざ自転車を降りて少年たちに駆け寄ってお金を箱に入れるほどのファンではなかった」からです。もし目の前で彼らの熱い試合を見たあとに箱を目の前に出されたら、ファンになっていたかもしれない、財布の紐は空いていたかもしれないと思うのです。

 例えば僕がスマホでそのアプリを開いて、剣道チームを検索。剣道の試合や稽古の様子などのブログを何気なく眺めます。いいな!と思えるチームがあればそのチームをフォロー。全国大会出場が決まると支援金キャンペーンが始まり、僕は思わず500円寄付してしまう。そんなイメージです。

 地元のクラブチームやスポーツ少年団の大会動画や練習風景が確認でき、その様子を見ながら少額で支援していく仕組み。「会場にきたファンのチケット代」「スポンサー広告の協賛」「関連グッズの販売売上」の3つに加えた新しい収入源として確立できないかなと。オンラインサロンのように月額で払うかたちもありかもしれません。

 そんなことを考えた週末でした。

ここまで読んでいただいて本当にありがとうございます! 少しでも楽しんでいただけましたら、ぜひスキをお願いします!