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流域自治への道@高時川

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琵琶湖・淀川水系の源流、高時川で、2022年8月に洪水が起きました。自身の故郷でもあり、川の治水政策に関与した筆者が、その現地を歩いた経験と、感じたこと、気づいたことを綴ります。
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痛みをどう分かち合うか?ー霞堤(かすみてい)をめぐってー(上) 流域自治への道@高時川 #001

痛みをどう分かち合うか?ー霞堤(かすみてい)をめぐってー(上) 流域自治への道@高時川 #001

< 「流域自治への道@高時川」はじめに・目次

水はただ、自然の摂理にしたがって 僕が初めて、水害の被災地を訪れたのは2004年。福井豪雨のときだった。僕は当時、国土交通省の委員会(淀川水系流域委員会)の委員を務めていた。高時川上流の丹生ダム(にゅうダム)の建設計画をはじめ、琵琶湖の水位調節のあり方、住民と川との関係のあり方など、淀川流域の河川整備に関する幅広い議論をしていた。しかし、水害の現場に

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目次&はじめにー流域自治への道@高時川 #000

目次&はじめにー流域自治への道@高時川 #000

目次#000 はじめに #001  痛みをどう分かち合うか?ー霞堤(かすみてい)をめぐってー(上) 
(以下、順次掲載予定)

大阪からの電話 2022年8月5日、11時半ごろ。僕は、日野町の自宅近くにいた。ポケットのスマホが鳴った。発信主は大阪の取引先さんだった。「余呉のほうの雨がかなりひどいみたいやから、大丈夫かと思って」。
 日野の空は薄曇り。蒸し暑くはあったが、雨は降っていなかった。お礼を言

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