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字あまり多め

2000字のレポートよりも時間かけ
指折り紡ぐ31字

板チョコを溶かしてひと手間かけるのは
味が愛情に比例するから

ここで見る最後の雪かもしれない、と
見上げた途端、雨へと変わる

3. や 4. 賞味期限の日付には
一足先に春が来ている

店員に思わず笑みをこぼしつつ
払う777円

心地よい春の日差しが照らすのは
しまっておいたはずの思い出

まぶしくて羨む画面の向こう側
1年先をゆく同い年

一駅を歩く間に溢れ出た
涙は早稲田通りにしみこむ

悩んだら、やっぱりあなたに辿り着く
肩にもたれて今日も泣かせて

せわしなく毎日は過ぎていくけれど
ちゃんと口角を上げてから寝る

審判に泣かされ、終了間際には
勝ち越しゴールにまた泣かされる

ボール追う彼らを応援する日だけ
この家の住所、【大分】になる

オレンジの髪をなびかす推しに、また
巡り会わせる当選メール

懐かしいあだ名ささやく甘い声
誘われたあたしはかぶとむし?

独りだとしても、「一人を超えてゆけ」
この世で生きるためのラブソング

母でなく、自分が作った雑炊は
喉を通らず、熱も下がらず

良薬は口に苦し、と言うけれど
特効薬は人の優しさ

エントリーシート、答案用紙には
人生ぜんぶ刻み込ませろ

ガラガラの図書館で机に向かう
スカイツリーは見ていてくれる

もう少しこの街で強く生きていく
明日で上京してから2年

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