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レヴェナント 蘇えりし者~The Revenant 映画 2015年公開

 プロットは単純で、元来この作品の礎となった著書は、余すことなく公開されている、その、劇作家フレデリック・マンフェルドの著書『ハイイログマの王』で一躍名を馳せた、罠猟師ヒュー・グラスが体験した過酷なサバイバルの旅を元にしたフィクション映画だ。

 そのような、ある意味著名の作品が、何故オスカー3部門という栄誉に輝いたか。そこにこそ、この作品を見る価値が、大きく2つ、存在している。一つは、3年連続アカデミー撮影賞受賞の、エマニュエル・ルベツキが表わした映像美によるリアリティ。そしてもう一つは、大根役者レオナルド・デカプリオが名優になれる、唯一のエレメントを漏らさず引き出した監督、こちらも2年連続オスカーに輝いたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの手柄である。果たして、そのエレメントは何か。知りたい方は、是非、ワールド・オブ・ライズやシャッター・アイランドをご覧になっていただきたい。悲劇度が増せば増すほど、彼の名優振りは発揮される。事実、ワイヤーに引かれ、鼻を骨折させられ、バイソンの生肉に敢えてかぶりつかされ、氷水に入水し、何より、氷点下27℃にも至る過酷な環境下で、自然光のみを使った史上初、エマニュエル・ルベツキの求めに耐えることで、余すことなくそのタレント性の真骨頂が、引きずり出されたことだ。

 2015年アカデミー賞においてこの、元大根役者レオナルド・デカプリオは見事名優に昇華し、栄えある主演男優賞に輝いた。


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