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消費税を愛する人、憎む人

前回の記事では、消費税とは取引関係にある事業者どうしのコストの押し付け合いを引き起こす

最も嫌われる税金

だという話をしました。

もちろん消費者だって『被弾』します。
消費税は最終的に消費者に負担させるというのが建前であり、消費税率が上がるたびに物の価格は上がるからです。

実際には、消費税を納税しているのは事業者であり、しかも赤字になる場合であっても納税しなくてはいけないのです。だからこそ消費税は最も滞納の多い税金なのです。

しかし、そんな消費税であっても一部の日本人からは熱烈に愛されているという事実があります。そこで今回の記事では

  • 消費税を愛する人

  • 消費税を憎む人

についてお話します。

消費税を愛する人々

財務省と財務省に洗脳された国会議員たち

何と言っても消費税を最も愛する人たちと言えば財務省でしょう。
財務省においては税率の引き上げなど緊縮財政を実現した官僚が出世する仕組みになっており、特に消費税率の引き上げは大きな手柄になるからです。

そもそも税が政府にとって財源である

というのは間違っているのですが、法学部出身で簿記を全く理解していない財務官僚や、MBA留学などで商品貨幣論の考え方を叩き込まれた財務官僚にとって、『正しい貨幣観』は受け入れがたいのです。

また、財務省の『ご説明』によって洗脳された国会議員にとっても

消費増税は正しいこと

なのです。

輸出中心の大企業、そのバックにいる経団連

民間企業の中にも『消費税を愛する人々』がいます。
それは、

輸出企業

です。また、輸出企業が多く加盟する日本経団連も消費税の増税には賛成の立場です。消費税はすべての取引に発生するわけではありません。消費税法では輸出取引は課税取引だが、税率は0%という

免税取引

とされています。消費税が課税されているんだけど、税率が0%です!
という何だか訳の分からないルールなんです。一応理屈はあって、

販売先は海外の企業であり、日本の消費税の納税義務はないから

というものです。

一応、消費税は間接税であり、消費者が担税者であるという建前を前提にしているわけですね。おおむねどの国も同じ仕組みになっています。例えば、こういうことです。

  • 国内で110万円で売った場合、10万円を消費税として納める

  • 海外に110万円分を輸出した場合、消費税を納めなくてよい

これだけなら、まだ理解できるのですが、輸出企業は仕入先に対して支払った消費税相当額

輸出還付金

として、払い戻してもらえるのです。これも輸出取引は課税取引の一種とされていることが原因です。

国内取引の場合は、売り上げに含まれる消費税相当額から仕入に含まれる消費税相当額を差し引いた金額を消費税として納税しますが、輸出企業の場合は売上に含まれる消費税がゼロの為、仕入れ含まれている消費税相当額が還付されるという仕組みです。こんな感じです。

売上高110万円、仕入高55万円とすると、
【国内取引の場合】
110万円×10/110-55万円×10/110=5万円を納税
【輸出取引の場合】
110万円×0%-55万円×10/110=▲5万円納税、
つまり5万円還付される

仕入税額控除と呼ばれる計算ルールを適用すると輸出企業は仕入先に支払った消費税相当額を還付してもらえるというわけです。これもすべては

輸出取引は消費税の課税取引

という整理になっているためです。消費税の課税対象ではない場合は仕入税額控除を適用することはできません。このことに怒っているのが後で説明する医療業界です。

でも、輸入するときには消費税がかかります・・・

公明党と公明党に優遇された業界

消費税の目玉政策に

消費税の軽減税率

があります。
軽減税率が適用される代表的な品目として

食料品

があります。国民生活にとって大切なものについては10%ではなく8%を適用するということです。

また、特定の業界が軽減税率を適用してもらっているという実態があります。代表的なものは

新聞社

です。新聞は言論によって民主主義を支えるという重要な役割があるため、軽減税率が適用されるべきだ、と新聞業界は主張しています。
実際のところは、消費税率アップによって更に購読者数が減るのを避けたかったのでしょう。

こうやって、軽減税率という特権を与えられた新聞業界は公明党や創価学会のことを批判しずらくなるのではないでしょうか。軽減税率適用によって言論の自由が制約を受けるのであれば本末転倒だと思います。

消費税を憎む人々

基本的に、消費税はみんなから嫌われているのですが 笑
特に消費税に対して強く反対している業界や政党には以下のようなものがあります。

医療業界

消費税に反対している代表的な業界は医療業界です。
消費税のルールにより、医療業界は

実質的な消費税負担が大きくなっている

からです。なぜ医療従事者医療サービスには消費税がかかりません。

まず、医療サービスは非課税と定められています。輸出は『免税』ですが、医療サービスは『非課税』と位置づけが違うのです。どちらも売上に含まれる消費税相当額が0円とみなされる点は同じなのですが、重要な違いがあります。それは、

仕入税額控除の取り扱い

です。輸出取引の免税は一応課税取引の一種であり、たまたま税率が0%であるという位置付けなので、仕入れに含まれる消費税相当額の還付を受けられます。

しかし、医療サービスの提供(社会保険医療)は非課税取引とされ、仕入税額控除ができないことになっているのです。

要するに、売上(医療サービスの対価)に消費税が含まれていないのに仕入に含まれる消費税の還付を受けることは認められない、ということになっているんです。日本医師会などはこの仕組みに昔から不満を表明しています。

一応、医療サービス(診療報酬)には消費税相当額を上乗せして算出しているので、その分は医者の収入になりますが、仕入れに含まれる分を控除できないというのはかなりの負担になっています。

『トヨタなど輸出の多い大企業』と『医師』はどちらもエリートのイメージで、ともにたくさんお金を儲けているものの、消費税については賛否が分かれるというのは興味深く感じます。

本来、もっと高収入のはずなのに・・・不満!

共産党・れいわ新選組

消費税反対を強く訴えているのは共産党とれいわ新選組です。しかし、反対の仕方が微妙に違っていて、面白いです。

共産党の場合、

大企業とアメリカは敵だ!

という思想が根強くあります 笑
それもあって、大企業中心に恩恵を受ける輸出還付金に対して強く反対しているようにも見えます。共産党にしてはまともな主張なので 笑
尊重しようと思います。

共産党の主張を注意深く読んでみると分かるのですが、

正しい貨幣観を持っているわけではない

ということが言えます。消費税を減税する代わりに富裕層への課税を強化すればいい、と主張しているからです。もっと勉強しましょう、ということですね。

いっぽう、れいわ新選組は正しい貨幣観に基づいて消費税の廃止を訴えています。山本代表は貨幣というものがどのように生み出され、流通し、消滅するのかをパーフェクトに理解しています。要するに

MMT(現代貨幣理論)を理解している

ということです。

橋下徹よりも山本太郎の方が賢かった、

ということです。


フリーランスの人々

今年10月からの開始が予定されている

インボイス制度

実質的な消費増税であり、フリーランスとして働く様々な業種の人が手を取り合って反対運動を盛り上げています。特にこれまで免税事業者であった、売上が1000万円に達しない業者も今後は課税事業者として消費税を納税することになるケースが多いため、多くの人にとって死活問題になっています。

インボイス制度の仕組みや、そのインパクトの大さ、なぜ財務省はインボイス制度を導入したいのか、・・・などと言った内容についてはまた別の記事で解説したいと思います。

消費税に対する賛否は業界によって異なることがお分かりいただけたかと思います。

今回は以上です。

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