ADHD治療薬で知能は向上するのか
ADHD治療薬というとストラテラやコンサータが思い浮かびますが、これらの薬を使うと果たして知能は向上するのでしょうか。
私なりにストラテラを服用したり、コンサータにとても近い成分であるカフェインを使って色々と実験をしてきたので、その成果を共有したいと思います。
基本的に知能は向上しない
知能を向上させる薬のことを「向知性薬」と言ったりしますが、ADHD治療薬が向知性薬になりうるのかと言う問題です。
これに関して、私の実験した中では「ADHD治療薬は向知性薬にはなり得ない」という結論に至りました。
そもそもそんなに簡単に知能を上げることのできる薬があるのなら誰でもノーベル賞を受賞できてしまうというひどく現実的な答えもあるでしょう。
ここからはわたしが実験してきたことを共有していきます。
読み飛ばすのが早くなるだけ
知能が高いというと個人的には早く問題が解けるとか、早く文章を読むことができるとか、何らかの「スピード」が関係してくると思います。
私は現在、資格試験の勉強をしているので、カフェインとかストラテラを摂取することでどれだけ問題に対する反応スピードが上がったのかを調べることができます。
結論から言うと「読み飛ばすのが早くなるだけ」だと思います。文章を読む時に視線を移動させる動きのことを「サッケード運動」と呼びますが、このスピードは体感で速くなります。
ストラテラやコンサータを読むことでサッケードのスピードを上げて文章を早く読むことができるようになるでしょう。
しかし、本当にそれは「知能が向上した」と言えるのでしょうか。私は言えないと思います。
文章を読むスピードが速くなったからといって、その文章を理解するスピードまでは上がらないからです。
読むスピードが上がるということはすなわち、途中の言葉を「読み飛ばしている」ことに他なりません。
ADHD治療薬を使って文章を早く読めるようになったことは、文章中の「少ない言葉から」意味を汲み取って理解しているということなのです。
これはただ単に「焦って」文章を読んでいることと同じで、本質的に文章を理解するスピードが上がっているとは到底いえません。
むしろ少ない情報量から文章を判断していることで、間違いもそれなりに多くなってくると思います。
ADHD治療薬が効果を発揮する場面
ではADHD治療薬が効果を発揮する場面はどのような場面なのでしょうか。結論からいうと「単純作業の繰り返し」です。
単純作業であれば、少ない情報量でも間違いを犯すことなく作業を続けることができます。これとADHD治療薬の相性は抜群と言えます。
例えば「部屋の片付け」などはその典型例でしょう。コンサータを初めて飲んだ患者が「部屋が片付いた」と言うことが多いのはこれに起因するものだと思われます。
部屋の片付けは、必要なものと必要でないものを区別して部屋を整理整頓すればOKであるという、比較的イージーな作業です。
それとコンサータの相性は抜群であり、服用した患者はあたかも薬によって部屋が片付いた感覚を得ることができます。
また肉体労働などもADHD治療薬との相性は良いでしょう。簡単だが素早くやらなければいけない作業が多いので、薬が効果を発揮する場面の一つだと思います。
肉体労働の作業を分解してみると、一個一個は簡単なものが多く、その代わりとにかくスピードが要求される仕事が多いです。
私も日雇いバイトで肉体労働をしたことが何度もありますが、明らかにコンサータを飲んだ方が早く動けるだろうと思っていました。
コンサータを向知性薬として使うべきではない
ADHD治療薬の中でも依存性と副作用が強烈なのがコンサータです。コンサータのよくある副作用としては、「これがないと動けない」という疲労感や、ドパミンを上げる関係で統合失調症の危険性、また中枢神経を刺激するのでパニック障害になることもあります。
コンサータは向知性薬として使われる薬の中でも代表的なものですが、あまり積極的に使うべきではないでしょう。
私はコンサータに似たカフェインを取りすぎてパニック障害になりました。おかげで現在は入院生活を送っています。
当時は忙しかったとはいえ、それだけの代償を払う価値があったのかは甚だ疑問です。既に1年以上療養生活を送っています。
効果が強い薬はそれだけ副作用や危険性も大きいということです。鋼の錬金術師からセリフを借りると効果と副作用は「等価交換」なのです。
それらをうまく見極めることのできる人だけが使うべき代物だと言えるでしょう。
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