【詩】ぼくの名を呼んで

ぼくは無力だった。

けども無力な存在以外に、
誰が告発に真の意味と
価値を与えられるだろう。

ぼくは非力だった。

でも生まれたときから、
ぼくは無限の可能性
そのものなんだ。

ぼくは奪われてしまった。
手や足を摘み取られるように。

不安や敵や貧しさも
みんなぼくの友達だったんだ。

ぼくがいなくなって、
きみはもうぼくの名すら
呼べなくなってしまった。

だけど
密やかに隠れるように
口の中で唱えるように
ぼくの名をつぶやく声がする。

ただ、心の中だけでもいい。
ぼくを思い出してくれるなら。

ぼくはきみとともに生まれて
きみとともに死ぬのだから。

ぼくがいつしか斃れ
そして生まれ変わるように、
ぼくの中であらゆるものが生まれ、
そして死んでゆく。

ぼくの名を呼んで

ぼくは声を持たないけれど
きみはきみだけの声で
いつだってぼくを呼べるんだ。

ぼくときみは分かち難く
いつだって結ばれているんだ。

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