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言葉のことばかり【嘘つき】

ウソだらけの日常

ウソをつくのは悪いこと。
針千本のまされちゃう…。
しかし世の中にウソついたことない人
なんていないだろう…。

ウソついたら地獄行き。なんて言ってたら
地獄は朝の満員電車なみの
混雑になってしまう。

ラジオを聴いてたら学者みたいなヒトが
えらそうに言っていた。
「ウソというのは、人間が生きていくための
 自己防衛本能なんですよ」
確かにそうかもしれない。

そんなに大げさじゃなくても
「ここはこういうふうに言っといた方が
 あとあとうまく運ぶ」ってことはよくある。
すべての人がすべて真っ正直に生きてたら、
えらいことになってしまうだろう。
そういう人は「融通の利かない人」と呼ばれる。

問題はウソが
「ちょっとキモチのいいこと」だということだ。

うまくいくと物事がスムーズに
(自分の思惑どおりに)すすむ。
これは妙に「やった感」がある。

仕事の達成感に似てたりもする。
んで、ラクだ。
真面目に行ったら1時間かかるところが
30分で着いた。みたいな気持ちよさがある。
なんだこうすればよかったのか。しめしめ…。

これが癖になっちゃうのが怖い。
近道を知っていて遠回りするのには勇気がいる。

癖になっちゃった人のことをウソつきと言う。

息を吐くようにウソをつく

なぜウソは「つく」と言うのか。
つくは「吐く」。息をつくの「吐く」と同じ。
まるで息を吐くように日常的に口から出ちゃう。

だからウソつきってかなり病気。
ダメだとわかってても自然にやっちゃう。
例のギャンブル依存症と似た症状だろう。

ウソは楽で、
その場をうまく乗り切れることが多い。
それが快感だったりするので癖になっちゃう。
みたいな感じなんだな。
後で大変なことになるのもギャンブルと同じ。

とは言え、こういう小さな快感って大切で、
ギャンブルも小さい快感なら
気持ちを豊かにしてくれる
いいものだったりする。

ウソも悪いことばっかりじゃない。
ウソも方便って言うけど、必要なことも多い。
正論は人を傷つけるし。

これってまるで薬みたい。
適量だと効果があるが飲みすぎると毒になる。

逆に思いっきり増量するとギャグになる。
大ボラ吹きってやつね。

ウソだとわかってる前提なら
エンタテインメントとして楽しめたりする。

まあこれも虚栄心から出てたりするから
人間の弱さの裏返しではあるが。

ホラは吹く。これは法螺貝ですね。
嘘は吐くし、なんか息に関係したのが多い。
もうひとつ「うそぶく」ってのもある。

これは漢字だと「嘯く」なので字が違うけど
「嘘」の語源がそもそも嘯くだという説もある。

じゃあ「うそぶく」は何を吹いてるのか。
これがなんと「口笛」らしい。

うそぶくの「うそ」は、鳩などを呼ぶ時の口笛のことで、本来、嘯くは口笛を吹くことを意味した。 嘯くが現在の意味に転じたのは、鳥の「ウソ」の鳴き真似をすることからという説。

出典:語源由来辞典

ウソついて口笛でごまかすのって
実は長い歴史があるのであった。

ラジオのエライ人はこうも言っていた。
「ウソをつくひとは弱いヒト。
 つかれる人はトロい人ですね」
ということは、世の中には
「弱いヒト」と「トロい人」しかいない
ってことになる。なんだかなあ…。

次回の言葉は「語呂」です。


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