見出し画像

言葉のことばかり【芸術】

芸術と上手の関係

最近、意外に忙しくて美術館に行けない。
マティスの展覧会が来週終わってしまうけど
たぶん行けないなあ。

芸術ってわからないってみんな言うけど、
絵画なんかはわかりやすいのもいっぱいある。
写実的なものはあるがままだったりするので
わからん、というのがわからない。

ただ「わかるからいい」ってわけでもなくて、
わかりやすいものは
逆につまらなかったりする。

前に「雪舟」の絵を見に行ったことがあった。
ボクらの世代だと
「ナミダでネズミを描いた人」として有名だ。
国語の教科書に載っていた。
(ちなみに今は載ってないらしい)
まあ、すごく上手な人として有名です。

当日はすごく混んでいて、
もう絵に近づくのも大変で、
おばちゃんに割り込まれたりして、
けっこう見るのが大変だった。

で、必死に見ていて、ふと
『この絵は本当にうまいんだろうか』
と思ってしまった。

何をとぼけたこと言ってんのか。
うまいに決まってるだろー
…なんではあるが、

たぶん同じ時代に、
同じような絵を描く人も
いっぱいいたはずで
もしそれを並べていたとして
雪舟だからやっぱり違う。
ってわかるんだろうか。…ってことである。

「おい。割り込んできたおばちゃん。
 あんたホントにわかってそんなに
 必死にのぞきこんでるんか?」
と思わず言いそうになってしまった。

その時代に描かれた
すばらしいと言われる絵にふれる機会、
ということで、ホンモノを見る。
ということだけに価値を
感じるのであればそれでいいんだが、

まあ、なんてすばらしいこの筆致…とか、
そういうふうに見ることができるひとは、
すごく混雑してた会場の中に、
ほんの一握りしかいなかっただろう。

少なくともボクにはわかんない。
と思いながら見ていたら、
「あれ?」って感じの絵に行き当たった。
ダルマの絵。人間の達磨ね。
これは基本的に写実っぽく描いてるんだが、
達磨の輪郭だけ、
すごく太い一筆書きになっている。
デザインっぽい。かわいい。

《慧可断臂図》 室町時代(1496年) 京都国立博物館蔵

時代背景とか、描かれた意味とか
(実はすごく深いものがあるんだけど)
あえてそういうの関係なく感覚的に
ここがちょっと「来る」みたいな、。

そういうのを感じるて、
素直にいいよなあ。と思ってしまった。
そうか、みんなそういう気分を
味わうために来てるんだな。と思うと、
その絵の善し悪しなんか、
わかってる必要はないんだ。
という結論に達したわけです。

芸術の芸

「芸術」という言葉、特に「芸」って
今どきの感覚から言うと逆に芸術っぽくない。
芸人のイメージが強すぎるのか。

一方で「術」も実は芸術っぽくない。
職人的というか、才能よりも技術っぽい。
実はすごく違和感のある漢字でできている。

くさかんむりの「芸」は元々「ウン」という、書物の虫食いを防いでくれる香草の名前で、それが転じて草を切る、草を刈る、という意味になったのだそう。藝術、藝人、職人藝、名人藝など、この漢字がつく言葉は皆、「人が丹精込めて育て、やがて刈り取ったもの」という概念から由来されているそうです。

https://www.mindmap-school.jp/blog-facebook-20200113-mindmap-of-art/

丹精を込める技か。
なんかそう言われると妙に納得した。
パッと見にわかるとかわからんとか、
それは見る人が勝手に思えばいいんだけど、
作る方がいろいろ込めてるってことで
そういうものなら芸術なんだな。
アートって言うよりよっぽど深い気がする。

込めてるもののカケラにどこか
ピンとくればそれでいいってことです。

ちなみに雪舟はいま京都でやってるらしい。

あ、これももう終わっちゃうね。

次回の言葉は「あ(と思うとき)」です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?