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言葉のことばかり【さす】

傘をさすの「さす」

「さす」のこと、真剣に考えたことはなかった。
…まあ普通そうですよね。

前回の話で何気なく書いてましたが、
傘をさすの「さす」ってちょっと不思議です。
英語だとopenとかput upかと思いますが、
なんか直接的な「行為」っぽいですよね。

だけど「さす」はもっとイメージっぽい。
開くとか上げるとか単発じゃない感じ。
単独じゃなく一連の行動というか。

言い方変だけど、気持ちが入ってる。

そのときの感情が見える気がする。
単純に雨を防ぐ道具を使うじゃなく
雨と自分の関係を変える行為。

「差す」という動詞

傘をさすのさすは「差す」と書きます。
この動詞、ちょっと何言ってるかわかんない。

他にこの言葉を使うケースとしては、
「水を差す」「光が差す」「魔が差す」
「流れに竿差す」「目薬を差す」
将棋は指すだが「差し手」と言う(なぜだ?)
相撲でも差し手って言うね。差し手争いとか。
競馬でも「差し馬」ってある。
こんなに意識が薄いのに、こんなに使い道が。

ニュアンスとしては「そっちに入れる」
もしくは逆に「こっちに入る」って感じ。
なんとなく境界を超える感じがある。

傘の場合、もちろん手の使い方として
差し出すように持ち上げる、みたいなことが
大きいんだろうけど、

個人的には「雨との境界に入る」ってのが
なんかしっくりくる。

そして、開いた傘の中に入る。
もしくは誰かを傘に入れてあげる。
傘の下という場所を空間として捉えている。

雨を防ぐ道具、という考え方とは
ちょっと違う気がします。

いろんな「さす」

「さす」ってこれ以外にもいろんな表記がある。

傘を「刺す」だと凶器になっちゃう。
傘で「指す」だと道を教えてるみたいになる。
他にも「紅を点す」「水を挿す」
「飲み止しのペットボトルの蓋を鎖す」
「光が射す」(これは差し込むではなく発射)
「挿すだけWi-Fi」なんてのもあるな。

なんだこれ?
意味はみんなどっか似てるのに
ニュアンスで変えてる。
こだわりが異常だ。

日本語学んでる外国の方は大変でしょうね。
てか絶対無理だな。

キーボードの文字変換も追いつかない。
こんなに何度もいろんな変換繰り返してたら
学習機能がパニックになりそう。

コピーライターはニュアンスで選びたいので
この辺のこだわりは大好きだと思う。
だけど(自分も含めて)勝手な解釈するので
間違うことも多いから注意ですね。

校閲を仕事にしてる人とかホント尊敬します。
さすがです。

あれ?さすがの「さす」って…

次回の言葉は「さすがです」です。


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